りっかい
□病は気から
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強気な新入生がいた。
「俺は絶対、お前らを倒すからなー!!」
「ふふ、楽しみな新入生だね」
「たるんどる!」
俺は倒れても倒れても向かってくる彼から目が離せなくなった。
「赤也が気になって仕方がないんだ。ねぇ蓮二、俺はどうしちゃったのかな」
「精市。それは、一般的に‥」
"恋、というものではないだろうか"
蓮二に言われて気付く。ああそうか、と俺は納得した。
「つまり俺は赤也が好きなんだな」
「その確率は高めだな」
「ふふ、随分と曖昧じゃないか」
「当然だろう。恋心というものは他人がそう簡単にわかるものではないからな。‥ん?
‥噂をすればなんとやら、だ」
テニスコートからこちらに向かってくる2つの影。
「こら赤也!1年は基礎練習だぞ!」
「いいじゃないッスかぁ!!真田先輩!!」
あれは、真田と赤也か。
「頑張れ、精市」
蓮二は練習に戻っていく。赤也を追い掛けていた真田を連れて。追っ手がいなくなった今、赤也は真っ直ぐに俺の所に来た。
「幸村先輩、試合しましょう!!」
「え、俺と?‥いいよ」
「よっしゃ!さすが幸村先輩ッス!!」
嬉しそうに用意をしている赤也。俺の心臓は大きく跳ねた。
「‥‥‥。」
「弦一郎。今日は見逃してやれ」
「し、しかし‥」
蓮二の肘うちは見事に真田の鳩尾に入った。そんな事、俺は知らないのだけど。