その他部屋

□雨、蛙
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「ふぅ・・・」

学校も放課後をむかえ、帰ろうとする俺はどうも気が重かった。

それはなぜかというと、教室の窓から見る窓の外の景色だ。

重々しく広がる灰色の空、しとしとと降り続く雨。

しかも夏と春の境目で湿度の高い梅雨。憂鬱にならないほうが変だ。

お母さんじゃないけど雨でここぞとばかりにテンションが下がる。

あげく藤野は『やっべぇ!弁当かわないと!!』とか叫びながら走って帰ってしまった。

「行くか・・・」


待っていても仕方ないから帰るか・・・。





校門を通りぬけ、いつも通る帰り道を歩いていると少し向こう…公園のほうで小さい影が揺れた。

それがなんとなく気になる俺。意を決した俺は制服のズボンのすそに水がはねるのも気にせず早歩きをする。

公園の前まで来た。ゆっくり立ちどまり、公園を眺めてみるとさっき見えた影が見えた。

じっと見てみるとそれは俺の中学の制服だった。女子の。


・・・小さい影、うちの女子の制服、そしてあのショートヘアー。

なによりも…この公園。たまに一人で歩くこの帰り道。その度々にここでよく奇怪な行動をとるアイツ。

ぺちゃ、ぺちゃ。


確信した俺はその影、いや、石田に近づいて行く。

「?・・・!」


ふしぎそうに振り向いた石田。俺に気づいた石田は「あ。」見たいなかおをして俺を見た。そして

「ユズピも寄り道?」


と聞いてきた。まさか石田かも知れないと思ってここまで来ましたー!と、言うわけにも行かず、

「おう、石田は?何してんだ?そんなとこにしゃがみこんで。」

「私?私はね、見て、これー」


といって石田の向こうにいたのは小さな蛙だった。

「蛙?」

「うん、蛙。かわいいでしょ。」

「そりゃかわいいけど・・・」

「?何?もしかしてユズピ蛙苦手?ぷふっ」

「ちょっ、てめ、ちげーよ!」

「♪」


俺をからかって満足したのか俺を映してた淀みのないガラスのような目を再び蛙に映す石田。愛おしそうに蛙を見る石田。

「そんなに好き?」

「ううん、べつに」

「じゃあ、なんでこんなにみてんの?ぬれるぜ?」

「んー、なんとなく。傘あるから大丈夫だし。」

そんなことじゃない、そんなことじゃ、

「じゃあ、俺もなんとなく。石田と一緒にいたいからここにいる。」

「いいよー」






・・・。結局俺と石田は蛙を見ながらつまらない話を一時間ほどした。すると空も晴れ、そろそろ帰ることになった。

「じゃあねーユズピー」

「おう、また、明日!」

「うん。」

ここでにこっと口を三日月型に歪めて手をふり、おなじみの『ぴーぽっぽっぱーぽーぴーぽっぽっぱー』というメロディを口ずさみかえっていく石田。

なんだろう嫌な気持ちはなくなっていた。

もしかしたら、石田と、あったから?


なんて、かんがえたら急に恥ずかしくなったから空が晴れたから、って言う理由にしておく。

明日も学校。たぶん明日も雨。


でも・・・それでもいいか。と思えた、梅雨のある日・・・。





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あとがき

まさかはじめての作品があたしンちだとはwww

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