短編
□昔の友人に、
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北海道の朝は綺麗だと円堂は思う。
朝日に雪がキラキラして、すこしまぶしい。
そんな中、円堂はザクザクと一人白恋中のグラウンドに急いでいた。
なんたって今日は、レーゼ達ジェミニストームとの再戦の日なのだ。
(今日こそは、勝ってやるぞ、リュウジ!)
そして、お前たちのやってることは間違ってるって、証明してやるんだ。
お日さま園では、反対をいうことはできなかった。
自分はまだ子供だったし、何より自分も含め、みんな父さんが大好きで、大切で、あの人のためなら何でもしようと思っていたし、それが当たり前だった。
だけど、ある女の子のおかげで気づくことができた。
復讐はいけないことで、大切な人の間違いを正すことも大切だということに
だけど、みんなを説得することはできなくて。
(だから、みんなを止める―――――サッカーで、目を覚まさせてやるんだ)
そこで、ふと、雷門と傘見野に現れた『レーゼ』を思い出す。
(あれ・・・リュウジ、だったよなぁ)
あの日から何度も考えたこと。
服装や髪形はともかく・・・・・性格までガラリと変わっていた。
少なくとも円堂の知る『緑川 リュウジ』はあんな自信家で高慢ではなく、穏やかでおとなしく、お茶目なやつだった。
あれがエイリア石によるものだとしたら。
(早く、とめなくちゃ)
まだ、治にぃや風介、晴矢、ヒロトなんかは見ていない。
自分の後釜として、例のチームのキャプテンはどうなったのか。
みなにはいっていないが、敵はまだまだいるのだ。
その時、円堂はそんなことを悶々と考えて走っていたせいだろう、誰かに勢いよくぶつかってしまった。
「うわぁっ」
あまりに勢いがよかったため、尻餅をついてしまう。
「あいたたた・・・・」
「ごめん、大丈夫かい?!」
「いや、大丈夫。ぶつかったの、こっちだし
そっちこそ、怪我ないか?」
「こっちもなんともないよ」
「そっか、よかった」
そういいつつ、尻をさすりながら立ち上がり、ぶつかってしまった相手を見た。
そこにいたのは、緋色の髪をした、青白い肌の少年だった。
(ヒロト・・・・・!)
お日さま園で、いつも一緒にいた、基山 ヒロトだった。
ヒロト達ガイアのみんなは、マスターランクにいてもおかしくないから、会うのはまだまだ先だと思っていたのに・・・・まさか、こんなところで会うなんて。