少年警察

□プロローグ
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人は誰しも何かしらのトラウマを持っている…。

しかし、いつかはそれと戦わなければならない。

俺のトラウマは………。


ピーーッピッ!!

車掌さんの笛が鳴る。

電車を降りて、今日もいつも通り一日が終わる。

学校が終わり、部活をして、彼女と一緒に駅まで行き、別々の電車に乗り、歩いて帰宅する。

俺の今の生活はとても充実している。

……近道である公園を歩く。

桜の木も紅葉を迎えている。

(来年の桜は早姫と見れるかな…。)

彼女である早姫とも今月で付き合って5ヶ月目だ。

(来年の桜はあの時の桜よりも綺麗な桜かな…。)

あの時の桜…。

綺麗だった。
ただただ綺麗だった。

おばあちゃんの手を繋ぎながら見た夜桜はあまりにも美しかった。

あの美しさは、今でも俺の哀しみを象徴している……。


その哀しみを乗り越えるために今も生きている。


公園の出口が近づく。

するとその前に黒塗のセダンが止まっている。

時間は9時を回っている。

今まで車があんなところで止まっているなんてなかった。

怪しい。

俺は竹刀袋の中の木刀に手をかける。

…公園を出た。

車の中には人の気配がない。

「ふぅ…。」

木刀から手を放す。
(俺の思い違いだったか。)

と、思ったとたん後ろに気配を感じた。

クッ…!!

木刀に再び手をかける。
しかし、竹刀袋ごと蹴られ道路に転がる。
左足で後ろへ蹴りをいれた。
そこには、人はいない。
すると、目の前に肘が飛んできた。

クソッッ!!

避けようとしたが、もう遅かった。
その肘をもろ胸にくらった。

俺は黒塗のボンネットに打ち付けられる。

相当の打撃をくらった俺は体を動かせない。

「ハァハァ……抵抗しなければ手なんて出さなかったのに。気の強さはお母さん似だね…。」

40半ばぐらいだろう。俺を倒した男が言った。

お母さん!?

こいつ俺の母親をしているのか!?

何者なんだこいつ!?

「…ッ……。」

しゃべろうとしても声がでない。

起き上がろうとする気持ちとは裏腹に意識が遠退いていく。

…目の前が真っ暗になった…。
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