少年警察
□プロローグ
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………んっ……うぅ………。
目が覚めた。俺は座っていた。
この音、この揺れ、どうやら車に乗っているようだ。
バレないように薄く目を開ける…。
「おはよう。宮本勇人君。」
同時に名前を呼ばれた。
俺を襲ったやつの同じ声だ。
(何故名前を知っているんだ!?)
目を開け、横を見る。
どうやら、まだ、夜のようで車の中は暗く、外の街灯の光が照らしては消え、照らしては消えている。
俺の隣には、40代後半の小太りでスーツに眼鏡姿の官僚のような男が座っていた。
「驚いている顔だね。覚えていないか。会った時、君はまだ赤ん坊だったもんなぁ。」
(何のこと言ってんだコイツ?)
「あぁ、まだ自己紹介がまだだったね。私は」
すると、胸ポケットから何かをとりだし、俺に見せた。
…警視庁 公安部 部長 大原孝……
……警察………
(…警察が俺に何のようだ?今更あの事を謝りにきたのか?……そんな訳ないな。警察が過去のことを謝りに来るなんてありえない。……なぜだ!?)
「あまり戸惑いを隠せないようだね。そこにある通り、私は警視庁公安部の部長だ。…君には宮本徹と宮本奈々の元同僚と言った方が早いかな。」
「っっ!!!?お前、父さんと母さんのこと知ってんのか!?」
思わず胸ぐらをつかもうとする。しかし、すぐ振り払われてしまう。
「そう慌てるな。いずれ話すことになるだろう。今、最も重要なのは、君の置かれている状況だよ。」
(確かにそうだ。何故俺は警察の車に乗せられているんだ?それにどこへ連れて行かれるんだ?)
そうなると怖くなってきた…。
「もう少しで目的地だ。」
そうすると車は何やら建物の地下へと入って行く。
車が止まった。
「降りろ。」
ここは小さなガレージのようだ。大原という男がガレージの隅の階段を登って行くのをただ付いていく。どうやら、この建物は古いビルのようだ。
二階分ほどの階段を登ると一つのドアがあり、そこへと入って行く。ビルの廊下を歩いて行くと、大原が扉の前で止まった。
「ここが、これからお前が生きていく"場所"となるところだ。」
そう言われ、俺は何気なく扉を開く。
この扉が俺の運命を変える大きな扉だとも知らずに………。