共同作品

□まだ決めてません・・。
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 やっとの思いで手に入れた春は、あまりにも平凡すぎていた。
ただ自分を変えようとしなかったのが悪いのかもしれないけど・・・。
私にはそんな力は無い。そんな勇気も無い。
だから何時までたっても、人の輪に溶け込んでいるように見えて、溶け込んでいない。


  だって仕方ないじゃん。


  私は平凡女なんだから。


 高校の春。制服が変わってかわいらしさ、大人っぽさを醸し出す春。
そんな春で女子達は自分を磨き上げようとメイクする人達もいれば、髪をそめた人たちもいる。
そのせいか中学の頃同じクラスメイトだった人が別人に見えて目を疑ってしまう。・・・メイクって凄いね。ホント。
そう関心している自分もナチュラルメイクだけど、一応しているが、「柚希は何しても「「普通」」だよな」と言われ、もう心がずたずたにされた気分だ。


「ゆずぅうう!!一緒のクラスだね!やったぁあ!!」



一人、大はしゃぎしている子は「「田島 さな」」。私の唯一の友達。いつも明るいんだけど、恋愛になると・・・ちょっと、ね?って感じ。
まぁでも。一緒のクラスになって嬉しいかも。


「うん!私も嬉しいよ。これからも宜しく、さな!!」



「うん!」



気分を変えて、友情噛み締めるようにお互いぎゅーっと抱きしめていると、黄色い歓声が五月蝿いほどきこえた。



「何、この歓声・・・耳が痛い!」


「確かにウルサイよねー・・・なんかあったのかな??」


さなは疑問そうに言うと、黄色い歓声の所に私を引っ張る。そのせいで耳が更に痛くなって気持ちが悪い。
というか、女子がこんな声出せるなんて初めて聞いたんだけど。ギネス、いけるよギネス。



「きゃーーーっ!!カッコイイーーー!ねぇ、こっち向いてぇええええ!!」



「イケメンが此処の学校の来るなんて、運よすぎてなけるうぅう!あ、みてみて!!こっち振り向いたよぉお!!きゃあああああああ!!」



女子達は振り向いた人に物凄い勢いで手を振ったり、写メを連射しまくっていて正直怖い。



「も〜!ウルサイってば!!」



「さな、落ち着いて!!!」


さなに駆け寄り、暴走するのを止めようと手を伸ばすと、誰かと視線が重なった。


「―――」


 視界に映るのは、黄色い歓声の中にひときわ目立つ姿。
綺麗な髪は風に揺れ、薄い色素の瞳が私を吸い込ませる。
骨格のいい顔に、サラッとした鼻筋。そして男と思わせるほど引き締まった体格。
そんな良くある漫画の世界であるような美男に、興味をそそるわけでもなく―・・・普通だった。



「行くよ、さな」



「う”・・・。」


これ以上さなを野放しにすれば、被害が及ぶと考えた私は、腕を引っ張り距離を離す。


さなもさなでそれをわかっていたのか振り払わず、つられていて、ふと思い出すかのように私に話をふった。


「で?あのイケメン男子、どう思う??」


「・・・別に、なんとも思わないけど・・・。」


「え、マジで言ってる??」


「・・・はぁ・・・。」


え?何、言っちゃいけなかった?
え、え??と半ば挙動不審でいると、さなは呆れたような目で「仕方ないもんね、ゆずはゆずだもん」とか言われてしまった。
 いや、だってさ?確かに綺麗だなーとか思うけど、別にそれ以上は無い。
ただの綺麗な男子。それしか思いつかない。
だから「どう思う?」っていわれても困るだけなんだけど。



「そうゆうさなはどう思うの?」



「えー?子犬にしたいな!みたいな(笑)」



「・・・子犬。」



そう考えると、遠くなってしまうように感じるのは私だけ?



「うん!つか、さっきのイケメンと同じクラスってまじサイコーじゃん!!」



目をキラキラと輝かせ、同意意見を主張させるさなに、少し呆れながらも私は「うん」と答えたのだった。
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