俺らの謎解き探偵部
□〜日常の異変〜
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「あ、あんたみたいな卑怯で傲慢で最低な男なんか誰が好きになんのよ!!」
「ああ?まだあのことを根に持ってたのか」
あのことって何だ?
僕は、数秒考えた後付き合い始めの頃、怜が瑛にストーカーされているという噂を聞いた事があることを思い出した。
怜に直接聞いたところ、瑛は怜の元彼で僕と付き合う半年前にいろいろな理由で別れたといっていた。
((まだ、怜の事諦めきれなかったのか))
僕はそう判断し、また怜たちへ意識を集中させた。
「あ、当たり前でしょ!は、早くその手を離して!!」
怜は、瑛の手をほどこうとつかまれていないほうの手で全身全霊をかけて必死に抵抗する。
「あ〜あ、こんな惨めな思いをするのも全部お前の彼氏のせいだ。」
((なぜ僕のせいになる))
と、そこで瑛が怜の腕を放し、瞬時に怜の両肩を押さえ込んだ。
あまりの速さに僕や怜を含め周りの男子生徒たちは、一種の恐怖を感じた。
場の空気が一変する。肌に突き刺さるような感覚に周りの見物人は体をふらつかせるのもままならない状態になった。
そんな状態の中、あまりの恐怖に固まってしまった怜の顔に瑛は酒臭い舌を近づけていく。
「俺といたほうが怜をもっと楽しませてやれるのに・・・。」
ペロッ ______
「ひっ!!」
あ・・・・・・・。
あまりの衝撃に僕は思考回路が停止した。
((何もみてない、何もみてない何もみてない何もみてない!!))
僕は、目を強く閉じそう自分に言い聞かせた。
しかし、その光景は忘れたくても忘れられない。むしろ僕の脳に刻み込まれ一生直らない傷となった。
最も衝撃を受けたであろう怜は、青ざめた顔をしており体全体が電撃を喰らったかのように震えていた。
((何とかして怜を助けなきゃ))
僕は、その場で俯き怜の救出方を考えた。
ドォン!! バコン!!
いきなり何かが強く衝突するような騒音が響いた。
周りにいた男子達がどよめき始めた。
僕は、何が起こったのか状況を確認するため周りを見わたした。
すると、さっきまで怜の近くにいた瑛の姿がない事に気づいた。
そして、彼のいた位置から数メートル離れた所にあるごみ置き場からうめき声が聞こえてきた。
僕は、何が起こったのかやっとわかった。
((怜が瑛をフッ飛ばしたんだ))
怜は、腕の力が半端なく強い。
((よし!良いぞ))
僕は、そう思ったが良く考えてみてば瑛はこの男子軍団のリーダーだ。連れの男子たちが黙っちゃくれない。