ぎんいろ みじかいの

□例えば君に恋人が出来たら
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例えば、
悪友だと思っていた男友達がいて。
例えば、
そいつと自分が惚れた腫れただの考えられない仲だったとして。
例えば、
それでも一緒にいるのに違和感を感じないやつだったとして。

そんな関係がずっと続いていたとして。




昼休み、屋上。
何気なく、約束したわけでもなく。
集まるのは決まってわたしとヤツだけ。
気付いたら、それが日常になっていて。
少しずつ会話もするようになっていて。
悪友っていうか、なんか、そんな関係になっていた。

今日もそんな日常。
二人でフェンスに寄りかかりながら、校庭を眺める。


「沖田―、これ、食べる?」
「あァ?何でィそれ」
「新発売のぽっきー。期間限定納豆味」
「うまいんか?」
「ひとの好みじゃない?わたしは好きだけど」


食ってみー、とぽっきーの袋を差し出す。
沖田が、三本とって口にくわえた。


「おい、取りすぎ」
「まっず」
「おい、なら返せ」
「ほらよ」
「いらないわ!こんな持つとこだけのぽっきーなんて!しかも食べかけ!」
「あ、そ」
「何か損した気分」
「俺もでさァ」
「なんでだよ」
「まずすぎて。なにこれ後味くそ最悪。人間の食うもんじゃないわ。」
「え、わたし結構好みなんだけど」
「だってお前人間じゃないだろィ」
「張り倒すぞ、おい」




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