薄墨珱

□京都へ
1ページ/5ページ

ふぅ、こんにちは。
主人公名前です。

今私は、東海道を南下しているところです。

茶屋を出てきて三日が経ちますが、中々京都につきません。
確か、大津あたりを歩いていると思うのですが・・・

大きな湖が目の前に広がっていて、長閑な雰囲気です。
人の数もあまり多くないので、本当にのんびりした時間がここでは流れています。

あれが有名な琵琶湖か・・・綺麗な水だな・・・

余所見をしながら歩いていたせいか、私は誰かとぶつかってしまいました。

「わっ
あ、すみません大丈夫ですか?」

私が慌てて謝罪をすると、彼はゆっくりと私の左手をとって倒れた体を起こさせてくれました。

「俺は大丈夫ですよ。
此方こそすみません
余所見をしながら歩いていたもので・・・
怪我とかありませんか?」
おぉ
紳士がここにいる!

「あ、大丈夫です。
怪我とかしていませんよ」
私がそう言うと、彼は安心したようで「良かった」と呟いていました。

彼の格好は、動きやすそうな感じで、お侍さんのような袴ではありませんでした。
何て言うか・・・
飛脚さんみたいな?

「では、俺は急ぐんで
そう言うと、彼は走って北上していってしまいました。

彼からは、何か不思議な感じがした気がした。
普通の人って言う訳じゃないみたいだしなぁ・・・

私が一人で唸っていると、なにやらむさ苦しいお侍さん方が私に問い掛けてきました。

「おい、そこの娘。
今ここで、飛脚のような格好をしていた男を見なかったか?」

何か乱暴な物言いだなぁ。飛脚のような格好をした男の人?
もしかしてさっきの人の事かなぁ?

「その人がどうかしたんですか?」

とりあえず、聞いてみたけれど、本当にあの人、なにをしたんだろう?

「あぁ、そいつは此処等一辺を騒がしとる義賊の頭だ。あいつを捕らえないと、今後ともに被害者が増えるからなぁ・・・
流石にそれは良くないんで、俺らが捕まえようとしているんだ。

志は立派だが、やつがやっている事は立派な悪行だ。」

へぇ。
この人は一見乱暴そうに見えて、意外と確りした人なんだなぁ。
少し感心。

そして、あの飛脚さんみたいな人は義賊さんなんだ。・・・教えた方が良さそうかな?
一応。

「そうなんですか。
確か、あっちに走って行った気がします。」

と、彼が去っていった方向を指差して言えば、
お侍さん方は

「本当か!
よし、追いかけるぞ!!」
と言って彼を追いかけて行ってしまいました。

「嵐が去っていったって感じね

まさにその通りとしか言えない状況でした。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ