novel.1

□本編
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   プロローグ

この世界は理不尽すぎる

幸せそうな笑顔も声も、
みててムカつく。
ガキから年寄りまで…。

俺は今まで、心から笑ったことなんてない。いや、できなかった。
泣くことも笑うことも
許されない場所で育ったから。

「桜…」

今の季節は春。桜が吹雪のように散る。手のひらにのった桜の花びらを、手で握り潰す。

「紫音…―。」

誰かの名を呼ぶ黒髪の少年の姿は、どこか寂しそうで…
今にも泣きそうだった。

その日の月明かりは、少年を優しく包み込んでいた。
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