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□彼のことを知らない君が
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どうやら霧野先輩は狩屋をよく思っていないよう。
猫をかぶった狩屋が嫌われるなんて余程の事だと思う。

「ななしの、狩屋はああ見えて性格が悪いんだ」

狩屋は霧野先輩には素を見せているみたいだ。
他の人にはいまだに猫をかぶっている。
狩屋の素は私と霧野先輩限定か。

「俺に怪我を負わせようとしたり、練習で何もしていないのに転んだ罪を俺になすりつけたり、それに、あいつはシードだ」
「シード?なんですか、それ」

シードの説明を聞けば聞くほど、狩屋には向いてないなと思う。
私だったらそんなもの入りたくない。
それにしても、狩屋は霧野先輩が気に入らないんだろうか。

「とにかく狩屋と早めに別れた方がいい」

突然やってきたと思ったら、吐き捨てて練習に戻って行った。
私もサッカー棟まで戻るんだけど。

「狩屋、霧野先輩にだけは素直なんだね」
「気づいてたのかよ」
「視界の隅で水色の髪がちらっと見えたからね」

木の上にいる狩屋に呼びかける。
位置的にさっきの話は全て聞こえていただろうから、特になにも言う必要はない。

「霧野先輩ってほんと面倒くさいよなぁ」
「あんたのせいで私まで関わりもってると思われてるから、どうにかしてよ」

私が言い終わる前にもう狩屋はサッカー棟に向かって歩き出していた。
コイツと私が付き合っているなんて言う霧野先輩はよほど観察眼が無いらしい。



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