天空の花嫁と幻の姫君

□日常
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鞭使い「さっさと働かんか!」


バシバシッ


















…ここは小高い山の上にある、
光の教団の本拠地である神殿。

今日もまた、奴隷達が苦しみながら働いている。












『どうだ?順調か?』

鞭使い「教主様!
はぁ、何とか頑張らせては居るのですが…

『そうか…なら良い。だがあまり無茶をさせて人手を減らすのもなんだ…手加減してやれ』

鞭使い「はっ…!」



















「相変わらずですね、貴女は…」

『…ゲマ』










…コイツはゲマ。俺の部下だ。













『人手を減らすのもなんだからな…人手が減れば完成が遅くなる…』

ゲマ「…本当は、まだ人間の心が残っているのでは?」

『そうかもしれん…だが妾は此方側の者だ』

ゲマ「ほほほ…そうでしたね」

















…俺は元々人間だった。
グランバニア王国の第一王女として暮らしていた。

だがモンスターに連れ去られて行方不明扱い…。

父は…パパス国王は俺を心配しているのだろうか?

恐らく心配等しとらんだろう…
心配なのは妻のマーサだけだ。





















《ガラガラガラッ》







不意に音が響き渡った。



鞭使い「貴様!」

女「も、申し訳ありません…!」

鞭使い「ええい、我慢ならん!
仕事の物を落としおって…!」



バシバシッ



女「も、申し訳ありませ…(泣)」


バシバシッ
















『…それ位にしておけ』

鞭使い「き、教主様!」

『この者もワザとやった訳ではなかろう?』

鞭使い「し、しかし…!」

『では貴様…この者がワザとやった所を見たと申すか?』

鞭使い「い、いえ…

『ならば妾の決定事に口を出すな』

鞭使い「も、申し訳ありません…」

『…下がれ』

鞭使い「はっ…!」










『…大事ないか?』

女「ありがとうございます、教主様」

『大したことではない…早く行け。また鞭が飛んでくるぞ?』

女「は、はい…。


あの…教主様…」

『なんだ?』

女「お名前を…」

『…我が名はライラ・グランバニア。
お前は?』

マリア「マリアと申します」

『マリアか…良い名だ。
自分を大事にしろ…』

マリア「は、はいっ…!」

























これが…
俺とマリアの最初の出会いだった。
 

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