夢小説置き場
□悲しみさえ等しく照らす/ブルック
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指に、
髪に、
頬に、
唇に…
桃香「ブルック」
ブルック「ヨホホ、どうしたんですか桃香さん、こんな夜更けに」
桃香「なんだか眠れなくって。ブルックは毎晩こうして海を眺めてるのね」
ブルック「いやはや、よくご存知で。」
桃香「恋人だもの」
桃香さん、私の愛しい恋人。骸骨の私を愛してくれる優しくて美しい女性。
ブルック「ヨホホホ、恋人ですか」
桃香「あら、不満そうね」
ブルック「いえいえ、とんでもない。むしろ勿体無いのですよ」
桃香「どうして?」
そう言い私の顔を除きこみ、耳に髪を掛ける桃香さんが、月明かりのせいか一層輝いて見える。
ブルック「桃香さんの様な優しくて美しい完璧な女性が、私など…と。」
桃香「褒めすぎよ、私はブルックがいいの」
ブルック「桃香さんにそう言って貰えるなんて私、胸がいっぱいです。あ、骸骨なんで胸はないんですけども。」
ヨホホ、と笑うと桃香がニコッと優しく微笑む。
ああ、このまま時間が止まってしまえばいいのに。
桃香「ブルック、何が不安なの?」
ブルック「不安、ですか…桃香さんには何でもお見通しという訳ですね。」
桃香「どうしたの?」
ブルック「不安とは少し違いますが…私はこの通り、死んで骨だけの姿です。人ではありません」
桃香「何であろうと関係ないわ」
ブルック「…ですが、私は…私は貴方の体温を感じることも、貴方にキスすることも出来ない。」
桃香「…」
ブルック「勿論、貴方といられるだけで幸せです。ですが、貴方に寂しい思いをさせてしまっているのではないかと思うと…私…!」
桃香「ブルック」
ブルック「私なんか忘れて新しい」
桃香「ブルック!」
ブルック「ハッ…すみません、喋りすぎてしまいましたね」
桃香「馬鹿ねブルック。私は貴方が何だろうと好きだし、私だって貴方と同じように一緒にいられるだけで幸せ。」
ブルック「桃香さん…」
桃香「キスが出来ようが出来まいが、他の人では意味が出来ないの。」
ブルック「…いらぬ心配だったようですね…こんなに嬉しい日は、ありません」