That's another*
□Love*03
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―何だか落ち着かなくて、雅の足は自然とテニスコートに向かっていた。
スパン、と鋭いインパクト音に心躍らせながら、雅は小走りにコートへの道を急いでいると、
コートの手前のギャラリーから甲高い歓声らしき声が、何故か、テニスコートから聞こえてきた。
『な、なん・・・?』
ガシャンとコートの扉を開けると、ギャラリーには派手な女子たちが群がり、
コートには練習している部員たちの姿。
思わず、は頭の上にクエスチョンマークが浮かぶ、雅には理解できなかった。
芸能人がいる訳でもないのに、なぜ騒ぎ立てるのか…
「来たんか、面白いじゃろ?」
だらだらとした歩き方でこちらに向かってくる兄。
『幸村先輩って強いん?』
所々訛りの入った声に幸村はぴくり、と反応する―――
(また、来ているんだ、ちょっと嬉しいな。
これが俺に会いに来たとかだったら物凄く、嬉しいんだけどね。)
〔告白すればいいだろう、お前なら即、アイツの彼氏になれると思うが。〕
仁王達から多少、離れたコート内でこんな会話がされている事は誰も気づかない。