オレンジガール
□凍結感情
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―テニス部の第一コートに近づくとおしゃべり好きな2人の賑やかな
女子マネージャーの声が聞こえてくる、
「ねー雅、1年生どれくらい入ってるんだろーな?」
新入部員の入ってくる人いうこともあり、うきうきとした様子で雅に話しかける
ふみに攣られるように微笑みを溢す、雅
『どうやろ?2ケタやろか?…どっちでも楽しみじゃな?』
「だよなー!今年はどんな選手が入ってくるか楽しみー!!!」
そう、話しながらコートの横で準備をしながら話していると、
眉を顰め、真田のような剣幕で幸村がコートに入ってくる。
雅が幸村を一瞥し、心の中で悪態をつく、
『なん?うちに文句でもあるん、あるなら言ってもええよ?』
ニヤリ、と不敵に笑う仁王にゾクゾクする―
こうやって俺にしか怒らない雅が好きだ、媚びられるより
何倍も心を揺さぶられる感覚が好きだなんて、俺に媚びてくる女の子たちが聞いたら
聞いたその場で卒倒しちゃうかもしないな。
まあこの気持ちは誰にも秘密だけれどね?
「貧相だし、とろいし。愛想ふりまいてさ、媚び売ってんの?」
ギラリ、と眼光が一層鋭くなったことは知らないふり。
『お前、やっぱ最低じゃな。』
雅は滅多に怒らない、しかし、幸村といると頭に血が昇り、
怒りや憎悪をぶつけてしまうことが増えた気がすると雅は
思わざるを得ず、無性に幸村に対して、腹が立ったと同時に悲しくなった、
しかし、今は落ち込んでいる場合ではない、もうすぐ部活動が始まる時間に差し掛かっており
雅は自分に気合を入れ、部員の分のボトルを抱え、出て行ったーーー