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□熱に浮かされて〜神ver〜
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私が持ってきた果物を食べた後。
薬が効いたのか、規則正しい寝息を立てはじめたブッダ。
「……ブッダ」
起こさないよう、小さくつぶやく。
布団から出ているブッダの白い腕を取ると、イエスは自分の頬に沿えた。
「フフ、いい匂い」
ふわりと優しい感触の肌からは、花のような微妙な香気が漂っている。
姿は変われど、匂いはいつものブッダのもので安心する。
ブッダの手の甲にそっと唇を当てると、イエスは祈るように両手で包み込んだ。
(君とずっと一緒にいられるのなら、私は君への気持ちを隠し続けるよ)
苦しいけれど、離れるよりずっといい。
梵天さんには気づかれちゃったかもしれないけれど。
私の事でブッダを困らせたくはない。
きっとこの想いは優しい君を困らせる。
だからずっと心の奥にしまっておこう。
自分だけの宝物として……
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仏への思いは薄々と感じていたものの、なんとなく怖くて自分の心ときちんと向き合ってこなかった神が、仏への愛をしっかりと自覚したというお話です。