番外編

□イエス編
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穏やかな昼下がり。



イエスは自身の国の教会で、いつものように祈りを捧げていた。



その姿は近寄るのもためらわれるほど神々しい。



イエスは一心に祈る。
己のただ一人の親友、ブッダの無事を……。



************



祈りを終え、イエスは野原にゴロンと横たわった。



ここはイエスのお気に入りの場所だった。



自然豊かで静かなこの場所は、釈迦国のブッダお気に入りの場所にどことなく似ているから。



そういえば、こうやって一緒に寝転がった事があったっけ。



「楽しかったな、あの頃は……」



目を閉じて、楽しかった頃に記憶を馳せた。


************



その日、イエスはご機嫌だった。



最近ブッダがお気に入りのココは自然豊かで、静かで心地いいから。
何より彼が隣にいる。



今日は安息日で、久しぶりにブッダと二人っきりでのんびり午後を過ごす予定だった。



だった、はずなんだけど……



「ブッダ様、ブッダ様! お手合わせ願います!」



いっつもこうだ。



「アナンダ君、ブッダは午後は休みで……」



何で、ブッダの取り合いみたいになってるんだろう。



ブッダと私。

お互い忙しい身の上だから、私はこの時間をとっても楽しみに……心待ちにしてたのに。



このイケメン男子もとい、ブッダの愛弟子のアナンダ君は純粋にブッダを慕っての行為で、まったく悪意が無いから対処に困る。



「では、一緒に瞑想を!」



ブッダは私とアナンダ君に、袖やら腕を引っ張られながら困ったような笑みを浮かべている。



「もしかして……さみしかった?」



しゃがんでアナンダ君の顔を覗き込むブッダ。



顔! 顔が近すぎるよ!!



アナンダ君はパっと顔を真っ赤にさせた後、控え目にコクリと頷いた。



そんな様子にブッダは心ならずも嬉しそうに目を細めた。



「とりあえず座ったら?」



自分の隣を促すブッダに、私はピシリと固まった。



「え……?」



「ほらおいで、アナンダ。私たちと一緒にいよう」



にこにこと笑うブッダに対し、私の顔は絶対に真っ青だ!



「はい! ありがとうございます!!」



うれしそうにブッダの隣に座ろうとするアナンダ君に、私は心にモヤモヤしたものを感じた。



もうこれはアナンダ君を満足させて、さっさとお帰り願うしかない!



「ブッダ! アナンダ君の言うとおり手合わせしよう! 私、運動不足だし」



なんか私的にありえないセリフだな〜と思いつつ言い終わると、やっぱりブッダは怪訝そうな顔をしてる。



「イエス? 運動嫌いな君が珍しいね」



「たまには私だってそんな気分になるの!」



という訳で、強引にブッダの武術教室が開始された。
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