番外編
□梵天編
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「……すみませんでした」
もう寝ようとベッドに入ろうとしたシッダールタを、梵天はふいに後ろから抱き締めた。
「あの……どうしたんですか?」
突然の事に軽く驚いたシッダールタは、そっと後ろを振り向く。
「…………」
梵天は抱き締めたまま、シッダールタの肩に額を預けると静かに睫毛を伏せた。
「梵天さん?」
「……嫌、ですか? シッダールタが嫌がる事はしたくないので嫌なら止めます」
肩に乗せられた梵天の頭を、シッダールタは優しくなだめるように撫でる。
「ふふ……。何からしくないですね」
梵天は拒まれない事に安心して、抱き締める腕に力を込めた。
無理に身体を繋げなくとも。
こうしてぬくもりを感じているだけで、胸の奥があたたまる。
幸せを感じられる。
「こうやって始めればよかったんですね……」
それを自分たちの関係の事だと分かり、シッダールタは口元をほころばせた。
背中から感じる梵天の体温と鼓動。
それが心地が良くて、シッダールタはそっと目を伏せた。