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□捕えられる
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夜遅く、天界の極楽サイドにある『目覚めた人』の事務所にて。



「はい失礼します!天部の梵天でございます!!シッダールタはいらっしゃるか!?」



勢いよく扉を開け放つ男に、デスクワーク中だったブッダはため息とともに手を止める。



「……またあなたですか」



ブッダは青蓮華の花のようと称賛される紺青の瞳をうんざりと向けた。



緩やかに頭上でまとめられた、瞳と同じ色のつややかな長い髪がさらりと揺れる。



ブッダは自宅では、プロデュースされる以前の自身の姿を模している事が多い。



梵天は嫌そうなブッダの様子など気にもとめず、後ろ手に扉を閉めると遠慮なくズカズカと室内に入り込む。



「こんばんは。遊びに来ましたよ、シッダールタ☆」



楽しげな梵天とは対照的に、ブッダは僅かに顔をしかめ、ため息混じりに額に手をあてた。



「もう、まったく毎日毎日……! 私にはそのような暇は無いのですが」


時間がもったいないとばかりに資料を机上に広げるブッダ。



ふむ、と梵天は腕を組み、その様子をしばらくの間じっと眺めていたが、ふいに腕を伸ばし、ブッダの白くやわらかな頬に両手を添えると。



「いっ…!痛い痛い痛い!!!」



一気にほっぺたを横に引っ張った!
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