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□熱に浮かされて〜神ver〜
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バカンスで滞在している立川に、久しぶりの大雪が降ったこの日。



苦行スイッチの入ったブッダが、雪でビショビショになって風邪を引いてしまったようだ。



以前もこんな事があったなぁ……なんて思いつつ、病院に連れて行くべきか、それとも寝かせるべきか。



とりあえず布団の用意をしようと、押し入れに向かったところで、突然ブッダが倒れてしまった。



「ブッダ! しっかりして!」



駆け寄り、何度呼びかけても起きる気配は全くない。
もしかして帰省しちゃった!?



ブッダの鼻に手をかざして呼吸を確認する。



「良かった〜、ちゃんと息してる!」



ほっと胸をなでおろし、イエスはブッダを布団に寝かせようと抱きかかえた時。
突然ブッダがまばゆいばかりに発光した。



「ちょ、どうしたのブッダ!」



ブッダをそっと置くと、あわててカーテンを閉めに走るイエス。



ブッダは横になった状態のまま、天井近くまで浮かび上がった。



「何? トランス状態!?」



螺髪が解け、バサァっと髪が広がったかと思ったら、フラッシュかというほど光り輝いた。



「いくら遮光カーテンでも、そんなに光ったらマズいよ!」



イエスは布団でブッダを覆い隠そうとしたが届かない。


エイヤッ!と布団を投げて被せようとした時、ようやく光は収まってブッダの身体がガクンと傾いた。



「危ない!」



落ちてくるブッダを受け止めようと、差し出した両腕の中にブッダが落ちてくる。



力に自信のないイエスは、一緒に崩れ落ちる覚悟だったのだが、意外にもしっかりと立っている。



「…………奇跡!?」



安堵の息を付くと、ブッダに目をやったイエスはあまりの衝撃に言葉を失った。



自分の腕の中に納まっているブッダは、目をギュッと閉じたまま。



苦しいのか、熱い息を頻繁に弾ませている。
そのたびに男にはあるはずのない胸が揺れていて……



ブッダは誰もが見惚れる程の美女に変貌を遂げていたのだった。



ブッダ本人は全く気づいていないというか、自分の容姿に無頓着なのだが、元々とても美人なのだ。
でも後付け設定された、普段の螺髪等の特徴が奇抜な為、そっちが目についてしまうのだった。



震えるブッダの身体。
眉を寄せ、せつなげに熱い息を吐くブッダを腕に収めていると、だんだんとイエスは妙な気分になってきた。



これはまるで生き地獄のよう。



イエスは衝動を理性で抑えられているうちに、助けを求めるのだった。
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