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□初詣
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―――新年
立川の松田ハイツの部屋にて、二人で初日の出を拝んだ後、イエスとブッダは近くの神社に初詣に来ていた。
「うわー…、ブッダぁ。やっぱり人が多いね〜」
「そうだね。はぐれないように……って、イエスってば言ってる側からっ!」
どんどんと人波に流されて離れて行くイエス。
「しょうがないなぁ……はい」
差し出されたブッダの手を、嬉しそうにふにゃりと笑って握る。
そのままへらへら〜っと笑っていたイエスはブッダに鼻をつままれた。
「いひゃいよぉ」
「変な顔して笑ってないでさっさと歩く! いつまでたってもお参りできないよ」
参拝の列に加わり、たわいもない話を交わしながらゆっくりと進む。
「イエス、今年は何をお願いするの?」
「う〜ん……恥ずかしいからナイショ♪」
「君の事だから、また新型PCじゃないの〜?」
「ふふっ、違うよ〜」
「ブッダは? 世界平和?」
「私は……君と今年もまた仲良く、楽しく過ごせますようにって」
少し頬を染めて微笑むブッダ。
イエスは一瞬足を止めてブッダを見つめる。
「…………/// 私も!!!」
人に押されるように進みながらイエスは声を張った。
「私も、今年も……ううん、これからもずっと、ブッダと一緒にいられますようにってお願いしようと思ってた!」
「……二人でお願いするなら、きっと叶うね」
ブッダは真っ赤な顔で告げてくるイエスを微笑ましく見つめると、あ!っと声を上げた。
「そういえば、まだ言ってなかったね。イエス、明けましておめでとう。今年もよろしくね」
バタバタと外へ出てきたから、年始のあいさつをしていなかった二人だった。
「明けましておめでとう、ブッダ。こちらこそ今年もよろしくね」
イエスはつないでいたブッダのやわらかく、あたたかい手をぎゅっと両手で握りしめた。