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□触れ合い
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梵天さんは、私によく触れたがる日がたまにある。
「シッダールタ」
「何ですか?」
名を呼ばれ、後ろからキツく抱き締められたまま言葉を返す。
「シッダールタ……」
首筋に吐息がかかり、ブッダはくすぐったそうに小さく笑う。
以前不思議に思い、問いかけた事があったが『補充です』という答えで。
何の“補充”なのかは今も分からないまま。
最初の頃は気恥ずかしさからか、腕の中から逃れようとしていたが、こんな時の梵天さんはどこか悲しそうで、苦しそうで……
それが分かってからは、なすがままになっているブッダだった。
「んっ、梵天さん……くすぐったいです」
身をよじったブッダだが、逆にもっと強く抱きしめられてしまう。
少し苦しい気もするが、不思議と嫌だとは思わない。
むしろ、心地よいと思ってしまう。
『慣れ……なのかな…?』
対して梵天はブッダの細さに驚いていた。
「……細くなったんじゃないですか? ダイエットなんて許しませんよ!」
「ひゃあっ!」
服の中に手を入れられ、直接腹を撫でられたブッダはビクリと身体を震わせた。
あまりに過剰な反応に、梵天の瞳にキラリと悪戯な光が浮かぶ。
「相変わらずくすぐったがりですね、シッダールタは」
「そ、そんな事ないです!」
弱みを見せまいと、強がっているが動揺しているのが腕の中から伝わってくる。
「では、これはどうですか!?」
梵天はブッダの腰に両手を伸ばし、容赦なくすぐり始めた。
「ちょっ、まっ! やめっっ!! アハハハハっ!!!」
ブッダはあまりのくすぐったさに手足をバタつかせる。
「シッダールタ……止めて欲しいですか?」
ブッダは息も絶え絶えになりながら、涙目で何度も頷く。
梵天はそんなブッダに微笑みを浮かべ、耳元で囁いた。
「……私の事を愛していると言って下さったら、もうしません」
「そ、ん…なっ!?」
その間もくすぐられているので冷静に考えられないし、上手く話せない。
力を振り絞って梵天を見上げれば、面白がっているとしか思えない行動とは逆に真剣な表情。
「さあ、シッダールタ……。あなたの声で聞かせて下さい」
ブッダはぎゅっと梵天の腕を掴んだ。