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□狂愛
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梵天は欲望を露わにこれ見よがしにゆっくりと舌舐めずりをする。




ブッダはそのお禍々しくもおぞましい雰囲気を肌で感じ、全身を総気立たせている。



梵天はそんなブッダの頬をやさしく撫で上げた。



「ひっ・・・・・・」



本能的に恐怖と怯えを感じたブッダは思わず小さな悲鳴を洩らす。



身体が無意識に後ずさろうとするが、梵天によって押さえ込まれているので身体は少しも動かない。



必死に抵抗すると、両手の自由を奪っている鎖がせわしなく金属音を立てる。



眠りから目覚めた時には、ブッダは鎖によってベッドにつなぎとめられていた。



「梵天さんっ! あなた、何を考えてるんですか!? 冗談にしては性質が悪すぎます……早く解いて下さい!!」



どうにかしてこの異常な状況から逃れようと、かろうじて自由に動くことが出来る両足と口とで必死に抵抗を試みる。



どうしてこのような状況に陥ったのか訳も分からないまま。



けれどそれは叶わなかった。



 「く、ぅっ……っ!」



ベロリ、と耳を舐められ背筋を悪寒が走り抜けていく。



耳の中まで舌を差しこまれ、ヒクリと喉を震わせるブッダに優しい声が届いた。



「シッダールタ、私は貴方を傷付けたりしません。だからそんなに怯える必要はありませんよ」



哀れなほどに硬直しているブッダに向かって、にっこりと穏やかな微笑みを浮かべた梵天が甘やかな声で言葉を紡ぐ。



「ただ私は貴方に教えてあげたいだけです。この世で一番シッダールタを愛しているのは誰なのかを」



ブッダは生まれて初めて味わう梵天への底知れぬ恐怖に、もはや声もなく竦みあがり、全身を小刻みに震わせていた。



「貴方が誰のためにこの世に生まれてきたのか、じっくりと時間をかけて教えてあげましょう。その為に貴方は今から私に抱かれるのです――…」
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