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□クリスマスデート
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----そして、現在
「なんで一緒に暮らしてるのに、外で待ち合わせなんか……」
周りの人がチラチラと自分を見ているようで落ち着かない。
やっぱり自分の格好がおかしいんじゃないかと、だんだんと不安になってくる。
そんな時、向こうから大げさに手を振りながら駆け寄って来るイエスの姿が目に入った。
「ブッダーーーー!!!」
その大声に振り向く人多数。
ますますブッダの居心地が悪くなる。
「待った?」
息を切らせながらニッコニコなイエス。
「お・そ・い!!!」
「ここは、今来たトコっていうのがセオリーだよ〜」
「い、イマキタトコ……」
一瞬、苦行スイッチを入れようかと思ってしまったブッダだが、イエスの姿を見て思わず感嘆してしまった。
髪をゆるく束ね、渋いグリーンのコートを着たイエスはいつもの幼さはなかった。
(しゃべらなきゃね……)
「さ、行こっか。お姫様」
歩幅の狭くなったブッダに、さりげなく歩調を合わせくれるイエス。
ブッダはイエスの優しさに頬を緩めていると、自分の指に絡められてくるイエスの指の感触に驚いて視線を向けた。
真っ赤になった顔を隠す事もなく、にっこりを笑顔を見せるイエス。
イエスは幸せを噛みしめるように、絡めた手をぎゅっと強く握った。
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どこに行っても二人並べばかなり目立ってしまう。
行きかう人々が美男美女の二人に感嘆の溜息を漏らした。
「ね、イエス。このぬいぐるみ、カンタカに似てない?」
立ち寄った店で可愛く見上げてくるブッダに、思わず抱き締めたい衝動に駆られたが…理性で必死に抑えた。
(嬉しいけど、生き地獄だよ〜)
「こちらは当店で人気の商品になります」
イエスがもだえていると、店員の男性がブッダに近寄って来た。
「とても可愛いですもんね」
キラキラとした目でぬいぐるみをみつめるブッダの様子に店員の男は笑みを深める。
(この男……)
イエスの聖痕がひくりと引き攣る。
店員の男はブッダにぬいぐるみを手渡す。
「手触りもいいんですよ」
「わぁー、ホントだ! 毛並がなめらか」
ブッダは満面の笑みを店員の男に向けた。
「-----!!!!」
その笑みを向けられた店員の男は勿論、周りから遠巻きにブッダを見ていた男達はあっけなく魅せられた。
イエスはじとーっと店員の男を睨んでいた。
店員の男はそんなイエスの様子に気付かない。
というか、気にしてないのだろう。
「あの、私はもうすぐ仕事が終わるので、この後私と出かけませんか?」
「……? 連れがいるので……」
ブッダは店員の男の言葉に、訳がわからず困ったように首を傾げた。
と、その時――
腕を引かれ、イエスの腕の中へ引き寄せられた。
突然の事に驚き、視線を向けると、縋るような表情をしたイエスがいた。
イエスはブッダの青く輝く髪を一房取ると、そっと口付ける。
「―――悪いですが、この人は私の彼女なので」
イエスはそのままブッダの腕を引いて店を出た。