―Long Novel―

□北風と太陽
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「グラン…」

ガゼルは想い人の名を
溜め息混じりに呼んだ

(一体いつからグランに惹かれて
いったのだろう…)

ガゼルの想いを寄せる人
グランは敵チームのキャプテン
円堂守にお熱だ


顔は地球人離れしたかっこよさで
身体つきも無駄な筋肉はなく
スマートで女子からモテる、というのが
よくわかる


だが…そんな見た目完璧の彼には
大きな欠点があった それは―…



(一体どこが好きなのだろう)

そう思いガゼルはチラリと
グランを盗み見た

「守、守、まもるぅ〜」


グランは人目をはばからず
円堂の隠し撮り写真を見ながら
興奮している

彼の欠点はこの変態な部分である
…俗に言う、残念なイケメン



「…はぁ」

そんな姿を見てガゼルは
溜め息をついた

(こんな変態になぜ惚れたのだろう)


「おいガゼル」


突然後ろから声をかけられた

「なんだバーン」

声をかけてきたのは
最近なにかとちょっかいを
出してくるバーンだった


「なにボーッとしてんだよ
厨二病ガゼル」

「うるさい!黙れチューリップヘアー!!」

「なっ!お前、これはチューリップ
じゃねえ!!オシャレだ!!」

「ハッ!!そんなチューリップみたいな
ヘアースタイルがオシャレとは
笑えるな」


ガゼルとバーンは水と油のごとく
出会えばすぐに反発しあうのである

だがガゼルはこんな風にバーンと
口喧嘩するのは毎日の小さな
楽しみになっていた


「お前のそのボワサーってなってる
髪型よりはマシだろ
……あ」

「??どうした?」

ふと 突然バーンの表情が変わった



「お前…グラン見てたのか」

「!!!!」

突然の発言にガゼルは
思わず頬を染めた

「ちっ、違う!!」

「隠さなくてもいいんだぜ、何となく
前からお前がグランのこと
好きなのはわかってたしな」


ニカッといつものように笑いながら
バーンは笑いながら言った


「すまないな」



ガゼルはいつものように
素っ気ない感じでお礼を言って
急ぎ足で去っていった




「…」





ガゼルが見えなくなってから
バーンはその場に座り込んで
狂ったように笑い出した



「あはははははっ!!!
俺って本当バカだなぁ!アイツがグラン
を好きになる前からずっと好き
だったのになぁ!!」


そこまで言ってから
ポタリポタリと涙が自然に出てきた

「っ!なんで…なんでもっと早く
アイツに気持ち伝えらんなかったんだろう」

「どうしたんだいバーン?」



肩にやさしく手を置いて
グランが尋ねてきた

「グラン…」


「どうしたの?
グギャブッハッ!!!!」


バーンはグランの胸の思いっきり
頭突きをして吹き飛ばした






「お前なんかに俺は
負けねぇからな!」





グランを一睨みしてバーンは
部屋に戻っていった


「…?一体僕はなぜ慰めてあげたのに
暴力をふるわれたんだろう?」


納得できない面持ちで
グランは一人取り残されて考えていた




















―――続きます―――
ギャグっぽいかも
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