―Long Novel―

□100%片思い
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中学2年生となると、みんな好きな人の話題に過敏になる
それは仕方のないことであって
否定するのは 地球の自転を止めるくらい無理なことであって



俺にもそれ相応の好きな人がいる


その人は―……


「緑川、おはよう」

「お、おはよう!!」



基山ヒロトという、赤く艶のある髪と綺麗なエメラルドの瞳を持つ優しい青年


この想いは誰にも打ち明けようとは思っていなかった

同性を好きになった、なんて俺にとってはおかしいことではないけど
恋愛に過敏になった周りの連中のからかいの的になるってことくらい
頭の回転が遅い俺にもよくわかっていた





それに

普通、好きな人っていうのは
そう簡単に口に出せるもんじゃない
と思う


そして

俺が同性であるということは、悩ましいものであったけど



俺が女子だったら、

もしヒロトと仲良くしようとすれば、変なうわさを立てられたり、かえって気まずくなるのがオチだ
だいたい、簡単に話しかけられるほどの人ではなかったと思う


ヒロトを慕う女の子なんかいっぱいいるから


俺が男子だから

側にいても、邪魔でもないし女子に妬まれる事もない
「友達」として「親友」として「戦友」として側にいられるから






それだけで十分な幸せであると思っていたよ









ヒロトはいつも人より白く、白いという言葉ですら形容し切れないほどの白さ…というか肌の色が少し悪かった


栄養失調なんじゃないかと疑われるほどだ


だけど 俺にとってはそれさえもヒロトを好きになる理由のひとつ




今までは俺がヒロトの一番の親友だった気がしてた





でも




「あ、円堂くん!おはよう!」


「おー!ヒロトじゃん、おはよう」



明るく笑いあう二人

円堂くんと言われた彼、円堂守はいつだって誰にだってこの笑顔をくれる
ヒロトも、誰にだって好かれる彼に魅力を感じていると思う


つまり 円堂がこんなに明るいのはいつでも誰にでも、なことだ
問題はヒロトのほう
ヒロトは円堂が学校に着いたときが一番嬉しそうに微笑んで
円堂とサッカーしてるときが一番楽しそうにプレーして



……ヒロトが好きなのは円堂だってこと










それに気付いたのは最近


俺たちが雷門に通い始めてすぐ






円堂がくるたびに円堂に話しかけに行く

それだけで判断できることだった


気付いたときにはショックで泣きそうで壊れそうだった


今も、俺が見る世界にはヒロトだけキラキラ輝いて見えるけど
他のものはほとんど霞んでいる

心の中もモヤモヤっとした霧がかかっている感じがあった


ヒロトと話しているときは

「俺を見てくれてる」って安心があって
今までの霧が吹き飛んだように、笑顔で話せるんだけど

円堂と話している姿を見ると、


いや


円堂の姿を見るだけで





胸の奥が嫌な感じにざわざわしだす






俺の恋は100%片思い
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