―Long Novel―

□北風と太陽
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「守ぅ〜」

「グラン様はホモなのですか?」

いつもと変わらない
変態なヒロトに
新鮮かつフレッシュな質問を
デザームがした


「え?んなわけないでしょww
ヒロトくんホモきらいだもんwww」

「(なんかムカつく)
いや、でも守、守って今にも
夜這いしそうな感じじゃないですか」


「守はと・く・べ・つ☆」


とウインクを決めるグラン
今この台詞さえなければ
どれだけの女子が彼に惚れるだろうというくらい。




「はぁ〜…」


そしてその発言を朝飯時に聞かされてしまったガゼル
低血圧で不機嫌なのに、さらに憂鬱な話が目の前に広がる
おいしい朝食の味を台無しにするのに
これほど最適なものなどないというように



「ごちそうさま」

自分を落ち着けるように
ゆっくりと立ち上がって部屋から
出て行く


(というより、デザームの処分はどうなったのだ?)






   私は屋上まで来ていた
朝の風って気持ちいい、と考え
太陽のある方向を見た
季節は夏から秋への変わり目
生暖かい風に包まれながらまた溜め息を
ついてしまった


「ふー…」

私の想いは伝わることはない
それでいいと思っていたけど

自分の意中の相手が自分以外の人間に
夢中になっているところを見るのは、やはり辛い

しかもあんなに変態的な感じで。



もしも想いを伝えられたら
たとえふられたとしても、私の存在を意識して
円堂のことは言わなくなるのかな…
それはそれでいいかもしれない
だけど結局グランには愛してもらえないままなのか
それはそれでいやだ



「ふっ、女々しいな…」



「なーに重い顔してんだよっ」


バシっと背中を叩かれた方向を
振り返ると、ニヤニヤと笑っているバーンがいた


「バーンか、


…………はぁ。」

「ちょっ、お前
人の顔見て 失望の溜め息って!!
失礼にもほどがあるだろ!」


と言いつつニヤニヤしてるバーンは
太陽よりまぶしい笑顔をしている


「溜め息つくと幸せ逃げるぞ?」

「そうだな、でも……はぁー…」


私は本日何度目かわからない溜め息を
ついてしまった
太陽の光、といえばいいのだろうか
このたとえようのない綺麗な瞳で
私の表情を覗き込む


「だ〜からっ!!」

私の曇った顔を見て
バーンは少しイライラしたようだった
そして思い切り空気を吸い込む

すーっ


「何してるんだ?」

「お前の溜め息はこれでなかったことになっるぜっ…ごほっ…」


吸い込んだ後に急にしゃべりだしたものだから
バーンは反動で咳き込んでしまった


「バカ」

「だいじょっぶ…だっ…」

まだ咳き込んでいるのに
私の溜め息を吸い込もうとしている

すーっ、すーっ


「バーン、もういいよ」

「おめーが何回も…
溜め息ついてっから…ごほっ…」

「悪かったよ、もうつかないから」


私はバーンの背中を撫でる


「ありがとう」




こんな女々しくて、弱い私を
心配してくれてありがとう


バーンと話してると少しだけ落ち着く
というより、居ないと逆に不安

もちろんいつもうるさいからだけど


だけど…、応援してくれてありがとう
なのに自分から幸せを逃しているのかもしれないな、私は。


たまに憎たらしいこととか
言ってくるけど
こういう少年らしい優しさは
とても可愛く見える

ジャイ●ンがいいことすると
とってもいいことしたように見える
あれ…だな。







いつもより少し落ち着いた朝

ちょっとがんばれそうな気がした
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