人を好きになる条件
□Prologue
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「若葉、話があるんだ」
「急に改まってどうしたの、父さん?」
いつもはふざけてばかりの父さんが今日は妙に真面目な顔をしている。
だから自然と私も真面目に話を聞く態勢になる。
「実はな…父さん、再婚することに決めたんだ」
「はっ!? 再婚!!??」
想像以上に衝撃的な話に声が裏返ってしまった。
うちには母親がいない。
いや、最初からいないわけではない。
ただ、私が物心ついた頃には父さん一人だけだったから、詳しくは知らないけど私が生まれて間もなく病気で亡くなったらしい。
それから18になるまで私は父さん一人に育ててもらってきた。
もうすぐ42歳になるとはいえ、まだまだ若い。
他の女性に恋をしてもおかしくはない。
とはいえ、今までそれらしき女性の影を見たことがない。
だからこそ私は、今とても驚いているのだ。