短編・中編本棚
□君ともう一度恋を
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たくさん涙を流した後シャワーを浴びた僕は制服に着替え身支度を整える。
丁度髪を乾かし終えるとドアをノックする音が聞こえてくる。
コンコン
「はぁい今開ける」
ゆっくりと扉を開くとそこには爽やかに微笑む兄が立っていた。
「おはようセリ。支度は出来た?」
「うん!シィちゃんおはよう準備は完璧!」
けれどシィちゃんは少し困ったように笑うと僕の目元に触れる。
「目が少し赤いみたいだね・・セリまたあの夢を見たのかい?」
「う‥ん」
僕はシィちゃんには嘘は付けないけれど、皐月さんの記憶がある事は内緒にしている。
だってもしそんな事を言っら絶対にシィちゃんは心配するだろいし‥それにこれ以上迷惑かけたく無いんだ。
今だって僕はシィちゃんに沢山迷惑を掛けている。
全寮制の学校なのに兄が毎朝迎えに来るなんて普通あり得ないでしょ?
でもシィちゃんは嫌な顔もせず一緒に登校もしてくれる。
それにね僕は他の事でもシィちゃんに迷惑を掛けているんだ‥。
「セリ・・何かあれば僕に言うんだよ、いい?」
「うん。いつもありがとうシィちゃん」
「なら食堂に行こうか?ほらセリおいで」
大きなシィちゃんの手。
この手は僕をいつも救ってくれる。
少し恥ずかしかったけど、僕は暖かなシィちゃんの手を掴んだ。
ねぇシィちゃんいつも心が暖かくなる言葉を言ってくれて‥本当にありがとう。
僕この学園に来て良かった‥。