短編・中編本棚
□君ともう一度恋を
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シィちゃんと手を繋ぎながら食堂へと向かう。
途中すれ違う生徒達は頬を赤く染めながらシィちゃんを見つめていた。
『椎名様ぁ今日もステキ!!』
『お美しい抱かれたい!』
本当にシィちゃんは人気者だ。
漆黒の綺麗な黒髪そして口元にある黒子がシィちゃんの格好よさを引き立てている。
それに比べ僕は
『芹菜ちゃん今日も可愛い・・』
『抱きたいよな芹菜ちゃん』
兄弟なのに全く似ていないのはハッキリ言って悲しかった。
どうせならシィちゃんみたいに身長が高ければといつも思っている
それに‥僕は先祖返りらしくてシィちゃんみたいな黒髪ではなく白に近い金色の髪。
瞳の色もシィちゃんのように黒じゃなくて薄い紫色なんだ。
気持ち‥悪いでしょ?
だからこの学校に編入する前は酷いイジメを受けた事もあった。
段々と暗い気持ちになっていくと、あの時の言葉を思い出し胸が苦しくなる。
『バケモノ』
『お前本当に人間かぁ?気持ち悪いから近寄んな』
繋いで居た手が震え足が止まる
「セリ‥?芹菜どうしたの?!」
「シ・ィちゃん・・僕の瞳は‥やっぱり気持ち悪いかな?」
するとシィちゃんは困った様に笑うと優しく頭を撫でてくれる。
そして人目が有るのにも関らず、僕はシィちゃんの胸元に抱き着いた。
『芹菜君、君の瞳はとっても綺麗だよ』
その時皐月さんの声聞こえた気がして、泣くのを堪えて居たのに、僕は結局声を上げ泣いた‥。