旧 魔王の帰還(更新凍結)

□魔王帰還〜魔王の言うことは絶対です〜
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鬼の副委員長南雲は水城の登場により、暴れるのを断念すると、つまらなそうに頭の後ろで手を組みふて腐れていた。

南雲は本来なら表に立つ存在では無い。

いつも裏で勝手に動き暴れ回る、それが彼のスタンス。

だからこんな風に表立つのは、委員長の水城の仕事とは思いつつ、可愛がっていた後輩にお願いされたのだから仕方ないと思ってしまう、自分を自嘲しながら薄く笑う。

「おい嘘つき!何笑ってんだ!早く湊にあやまれよっ!なぁ誠?コイツが風紀の副委員長なんて嘘だよな?!」

カッチンとくる愛川の言葉に、南雲は唇を引き攣らせる。

強気で空気が読めない愛川は、信者達の青い顔に気付く事無く言葉を続けていく。

「いい加減謝れよな最低野郎!お前みたいな奴が副委員長になるなら俺が叔父さんに頼んで辞めさせてやるっ!」

愛川は爽快な気分だった、昼間受けた扱いの鬱憤を晴らす相手を見つけたから。

だが相手が悪かった、信者達は今になって愛川を止めに入る

「まっ麻奈ちゃん!もうそれ以上南雲先輩を刺激しちゃダメだよ?!」

諭す様にチャラい書記が顔を青くさせ口を開けば、次々と信者達は愛川に言葉を掛ける。

「すっすみません南雲先輩…っ!」

そして山吹は頭を下げ謝罪し、顔を上げ南雲の表情を見つめると言葉を詰まらせ喋れなくなってしまう。

切れ長の猫目は釣り上がり、コメカミはピクピクと震え、山吹を見据える瞳の瞳孔は開かれている。

「す・み・ま・せ・ん?今そう言ったかぁ山吹ぃ?!
それは何に対しての謝罪だぁ?!
貴様の職務怠慢の事かぁ、それとも糞猿の事か?」

唸る様な低い声が一同を黙らせるには十分だった。

その時食堂の入口に立つ2人の存在に気付いた生徒達が、小さな声で口々に喋りだす。

『稜牙様だ…。』
『静かにね皆?稜牙様はお食事時に、煩いのがお嫌いだからね』

親衛隊が小さな声で周りに指示を出せば、一同は頷き静かに食事を再開させる。


「おっかしぃにゃぁ?此処は食事をする場所なのにぃ不穏な空気が流れてるねぇ彰?」

「えぇ、どうやらまたあの転入生の様ですね。」

間延びした特徴ある声が南雲にも聞こえると、険しかった表情は変わる。

ゆったりと歩きながら稜牙は騒ぎの中心を見つめると唇を緩めた。

「ありゃぁ…猛ったら優しいねぇ、あんなバッチぃの焼却炉にでも突っ込んどけば良かったのにぃ」

「詰めが甘いんですよ青城は…。もし僕に命じてくれるなら稜牙様の言葉通り実行しますよ?」

「へぇ…頼もしいね。ならアレを5分で収めたらご褒美を上げようか?出来るかにゃ彰?」

「仰せの通りに」

「あっ…終わったら南雲ちゃんと、あそこで黄昏れてる水城先輩の回収もよろしくぅ」

彰は眼鏡のブリッジを押し上げると、足早に稜牙の元から離れていく。

「ふぁっ…と、さぁお腹空いたしご飯にしましょうかぁ」

一人欠伸をしながら呟くと、稜牙は自分の専用席へと歩いていく。
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