旧 魔王の帰還(更新凍結)

□魔王帰還〜魔王の言うことは絶対です〜
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稜牙の傍から足早に立ち去る彰は一団に近寄ると、南雲に会釈をし愛川を見下ろした。


それは汚い物を見るかの様に蔑視し、冷たい声で話し掛ける。

「これから稜牙様がお食事をなさる。君達今すぐ此処を立ち去るか、静かに着席し口を閉ざしてくれないか?」

南雲はその言葉の意味を分かっている為、彰に挨拶をされても口は開かず頷くだけ。

だが事の状況、そして自分に散々な扱いをした彰を見つめると、愛川は相変わらず大きな声で叫びだす。

「お前っ?!昼間に俺に酷い事言った奴じゃんかよ!
もしかして謝りに来たのか?
なら許してやるよ!お前も俺の友達になりたいんだよな?!」

けれど愛川には彰の言葉は届かない。

どこをどう聞いてその思考に辿り着くのかが疑問だ。

彰と南雲は目を見開き驚いていると、近くの席で黄昏れる仏の風紀委員長は、頬杖をついて居た手から滑り、周りに居た生徒もずっこける。

すると最上階で光景を見ていた稜牙は、目を細め険しい顔付きに変わっていた。


「騒ぎが収まる所か悪化してんじゃねぇのか?」

元祖俺様琉咲稜牙は不機嫌そうに呟くと、側に居た給仕にメニューを告げる。

「お伺い致します琉咲様」

「あぁ、いつものと…あの家畜を黙らせる物って無いかね?」

給仕は困った様にほほ笑む。

「我々も困ってるんですよ琉咲様。
彼が学園に来てからは食事を残す者も多く…。それにこのギスギスとした雰囲気のせいか、皆顔色も悪く我々も心配しているのです。」

「そう…か。」

給仕は愚痴をこぼしながら一礼すると、オーダーを伝える為厨房へと立ち去っていく。

「確かにこんな雰囲気じゃぁ上手い食事もマズくなるよな」

稜牙は食事時に煩いのを酷く嫌う。

そしてマナーが悪いのも嫌いだ。

食事は静かに食べる方がいい。

そして綺麗に美しく食べるのが食事のマナーだと稜牙は思っている。

食材と作ってくれたシェフ達に感謝して味わうからこそ、どんな料理でも美味しくなる。

だから煩いのは悪、食い散らかすのはもっと悪…最悪なのだ。

如月学園は良家の子息達が通うから、最低限のマナーは叩き込まれている。

だから不思議なのだ、何故こんなにも騒がしく出来るのかが。

「家畜ちゃんはどんな教育を受けてきたのかにゃ?」

緩く特徴的な口調に変わるが、その騒ぎを見つめる目付きは険しい。

「裏口入学でもあの愛川代理の親戚なら最低限教育をされてる筈なのにねぇ?
変なのが世の中には居るんだねっ」

稜牙は代理理事を思い浮かべ、ニヒルに笑い唇を妖しく緩めた。


「黒川ちゃんの次は代理の躾かねぇ…」

如月理事の代理を任される愛川智。

「嫌いだけど一回位挨拶しないとねぇ。」

不機嫌そうに頬杖付きながら、稜牙は光景を見つめるのだ。
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