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□腐った男子鞍馬君
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『鞍馬ぁぁぁぁ!!!俺は限界だぁぁっ!俺様会長なんて無理だよぉぉ』
会長様が食堂の入口で叫んでおります。
馬鹿野郎っ!
なんて日だっ!
「にゃんか幻聴が聞こえるね天羽きゅん!」
「お前って結構酷い奴だよな…。うわっ鞍馬!会長ガチで泣いてんぞっ!」
「知らにゃい…オイラは平凡生徒。あんなイケメン美形知らにゃいもん。」
だがガチ泣きしてる会長を慰め現れる人物が居たら、それはそれで萌えるので、天羽きゅんの背に隠れ盗み見る。
「ありゃぁ本当に泣いてるわ、どうしたのかね会長様☆」
「鞍馬が弟じゃ無くて良かった…。お前冷た過ぎる」
『鞍馬ぁぁぁぁ!鞍馬ぁぁぁぁ…っ』
「うるせぇぇ!!男が泣いていいのは財布を無くした時だけじゃぁ静馬ぁぁ!!」
オイラは声高に叫び静馬に近づいていく
すると屈強な生徒や可愛らしい生徒達は、道を開けてくれる
時より聞こえる声に静馬を放って置きたいと思うが、奴がガチ泣きしたと知られたら、オイラがパパんやママんに殺される。
実はオイラと静馬は一日遅れで生まれた、双子なのだ。
オイラが出たくないと腹の中でゴネタらしく、静馬は3月31日に生まれて、オイラが4月2日差し掛かる手前で生まれた。
なんちゃって双子。
母の腹でタンマリ栄養を与えられた静馬は背も高く野性味溢れる端整な顔立ち。
それに比べオイラと言えば、背は平均よりちょい高いくらいで平凡な顔…。
やっぱりアイツ好い所どり過ぎやしないかい?!
「鞍馬ぁぁ!!俺には無理だよ!あんな変なのに殴られキス何て絶対無理!!」
「そこはヤレよ馬鹿野郎っ!オイラがお前程の美形ならしとるわぁぁ!!」
オイラは新きゅんに情報を聞き終えると、静馬に連絡し指示をした。
勿論、副会長や会計に参加させろと静馬に命令したんだけども…テヘっ☆
だがフライング気味で静馬は今食堂に居て、副会長と会計の姿はない。
どこで転校生と接触したんだお前!
初接触は食堂だろ!
「静馬ぁ…泣くな。男が泣いていいのはな」
「クズッ…財布を無くした時だろ?」
オイラを見つめ涙を溜めている馬鹿兄貴。
「違うわボケっ!王道展開を見れ無かった時じゃぁぁ!うわぁぁん…まただ、また見逃したぁぁっ!うぇっうわぁぁん」
オイラの泣き声が食堂中に響くと、静馬はオイラを抱き寄せると大きな声で周りを威嚇しとる。
はて…何故だろう?
『てめぇら見世物じゃねぇ!見るな触るな消えろ!!』
おい出来るジャマイカ?!
やっぱり静馬には俺様会長で居て貰おう
『鞍馬を見るんじゃねぇ!減るだろうがっ!』
減らないわっ!どうやったら見られて減るんだよ?!
教えろ?!
けれどオイラは泣き続け喋る事もままならない。
「うわぁん!エグッ…アンチ…王道と生徒会の絡み…見たかったぁぁ!」
大抵こうゆう時に現れるんだよね。
『うっわぁ!ここが食堂?!』
『ソウデスヨ』
『ソウダネ』
棒読みな後の二人が気になるが、この体制まずくない?
『あぁずっるい静馬!クラッチぃ僕の腕に飛び込んでおいでぇ!』
空気読め馬鹿会計、棒読みで喋れ!
『こらこら止めなさい。鞍馬君こんにちは』
ヒラヒラと手を振りながら、副会長様と会計が近づいてくる。
一人置き去りにして。
やばくね?やばくない?
置き去りにされた人物は、頬を膨らませオイラを睨んでるのに誰か気づいてぇ!
こうゆう時は…
「天羽きゅんっっ!ヘルプっヘルプぅ!!」
天羽きゅんの名を呼んでみるのである。