BACCANO!

□クリスマス(クリリカ)
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12月24日 

クリストファーはリカルドと一緒に、いつも通りの日常を送っていた。
リカルドは、ルッソファミリーの再建のために毎日のように書類に目を通し、クリストファーはある程度の時間になったら、自分が作ったお菓子等を持って行って一緒にお茶をしたりしていた。
(勿論、ボディーガードの仕事もしている。)
今日も同じようにクリストファーがお菓子を持って部屋に入って来た。

「はい、リカルド。今日はケーキだよ。」
「ん。ありがと。」
ケーキと一緒に持ってきた紅茶をカップに注いでテーブルに置くと、リカルドは書類から目を離し、紅茶を口にする。
するとクリストファーがテーブルの端にちょこんと手を置き、こちらを覗くような形で屈んでいる事に気付いた。
「・・・、何?」
「うん、ちょっとリカルドに聞きたい事があるんだけど・・・」
「聞きたい事?」
紅茶を飲みながら眉を顰め、また何かに好奇心でも持ったのだろうかと考える。
最近クリストファーは、興味を持ったものや、不思議に思った事をリカルドに聞くという事を頻繁にしてくるようになった。
ある時は「本当に宇宙人っているのだろうか」とか、「幽霊とかって本当にいるのかな。見えちゃうのかな」などその他諸々・・・
小さい子が親に「アレは何?どうなってるの?」と聞いて来るようなものかと思い、少し可愛いところもあるんだなと感じつつあるリカルド。
―・・・でも、自分よりも年下の子供に聞くのってどうかと思うけど・・・
―まぁ、精神年齢が子供みたいなものだからいいか・・・

「うん・・・サンタサンって何?」

ブフォッ!!
丁度紅茶を飲んでいたため噴いた瞬間、顔が紅茶まみれになってしまった。
―まさか、ここまで精神年齢が幼かったとは思わなかった・・・
「!?ちょっ、リカルド大丈夫!?」
クリストファーが慌てて持ってきたタオルを受け取り、顔を拭きながら答えを返す。
「サンタさんって言うのは、クリスマス・イヴの夜に赤い服を着て、子供たちにプレゼントを配るおじさんの事だよ・・・」
その答えに満足したのか、「へぇ〜。」と頷いているクリストファーに、リカルドはちょっとした疑問が残る。
「クリスって、クリスマスは知っているのに、どうしてサンタさんは知らないの・・・?」
「え・・・」
「だって普通、クリスマス=サンタさんって解釈する人多いじゃない?クリスマスだけ知ってて、サンタさんを知らないだなんて変だよ・・・」
「そ、そんなにおかしい?」
「うん。」
「(´・ω・`)」
「・・・でもどこで知ったの?やっぱり街にたくさんいたから?」
リカルドの言葉にクリストファーはキョトンとする。
「え?サンタさん、街にたくさんいるの?」
「・・・。」

―どうしよう・・・本当に自分より小さい子に言い聞かせてるみたい・・・

リカルドはしばし考え・・・

「そう。たくさんいるんだよ。ほら、おじさん一人で全部の子供にプレゼント渡すなんて無茶でしょ?だから皆そのお手伝いしてるんだよ。」
「なるほどぉ!確かに全世界の子供に一夜だけで渡すなんて無理だよね!」
子供のように無邪気な笑顔で笑いかけてくる自分の友人に、ちょっと頬を染め、視線を別のところにずらすリカルド。

「あ。でも、サンタさんが来るには一つ条件があるんだよ。」
「え!そうなの!?」
―意外と厳しいんだぁ・・・サンタさんって・・・
「どんな条件なの?」
「良い子にしていたら来てくれるんだよ。つまり、良いこの所にしか来ないってこと。」
「じゃあ、悪い子のところには来ないんだぁ・・・」
「そう言う事。」
―俺もまだ小さい時はサンタさんとか信じてたなぁ・・・でも母さんや父さんが死んでからぱったり来なくなって、そこでアレは親だったんだって気付いたけど・・・
―まぁ、サンタとか本当にいたとしても俺の所には来ないだろうな。
―だって俺、悪い子だs「じゃあ、大丈夫だね!」

リカルドが一人考えているとクリストファーが声を上げた。
「・・・?何が大丈夫なの?」
リカルドが頭に?マークを出していると、クリストファーは自信満々な声で言葉を続けた。

「だって、リカルドは良い子だから!」

「・・・。」
―・・・俺が、良い子・・・?

「ちょっとクリス。どうして俺が良い子になるのさ。俺今まさにルッソファミリーを再建させようとしてるんだよ?どちらかと言ったら悪い子じゃん・・・」
「何言ってるんだよ。リカルドは良い子だよ?今まで一人で勉強とかもして来たし、他の子みたいに我が儘なんかも言わない。僕よりも大人な意見とか言っちゃう。そして、まだこんなに小さいのにマフィアを建て直そうとしている頑張り屋さん。」
いつの間にか自分の横で膝を着いて座っているクリストファーが、自分の手を取り、笑いかける。
「ほら!良い子じゃん!」

その優しい声と優しい笑顔で語り掛けられ、リカルドはまた頬を染め、顔を背く。

「あはは!可愛いなぁ、リカルドはぁ♪」


部屋を出て、屋敷の廊下を二人で歩いているとクリストファーが口を開いた。

「それじゃあ、とっても頑張り屋さんで、良い子なリカルド君は、サンタさんに何をお願いするのかな?」
その問いには何とも素っ気ない返事が返って来た。
「プレゼントなんていらないよ。」
「ありゃ?なんで?」

前を歩く小さな主人は、その後ろを歩くボディーガードでもあり、彼の唯一の友達である赤目の男に振り返る事なく微笑みながら呟く。

「もう間に合ってるから。」


―君が傍にいてくれる・・・。それだけでもう十分です。
 

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