BACCANO!

□※にゃんにゃんにゃん(グラクリ)
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ある日起きると、猫になっていた。

正確には猫になったのではなく、ネコ耳と尻尾が生えていたのだ。
「・・・。」
今自分は部屋の鏡の前に立ち、自分の身に起きた事を確認中。
最初気付いたのは自分の耳と同じ色のネコ耳だった。

起きて頭を掻いた時に何かが当たった。柔らかくてふにゃふにゃした感触。
引っ張ってみると痛くて、一瞬変な寝癖でもついてしまったのかと思った。
とりあえず顔を洗いにと思い立とうとして、もう一つに気付いた。自分の後ろから覗く長い尻尾。
一瞬後ろにどこからか入って来た猫でもいるのかと思い、振り返ってみたが何もいない。
「・・・?」
しかし尻尾は見える。
嫌な予感がしてその尻尾をぐいっと引っ張ってみる。
―・・・痛い。え、嘘。生えてる!?僕尻尾生えてる!?
そこである事に気付き、急いで鏡の前に行く。
そこには寝癖等ではなく、綺麗に形の整った栗色の猫耳が生えていた。
「〜〜〜〜〜〜ッ!!」
たまにピクピクと可愛らしく動く猫耳を自分の頭の上で見て、言葉を無くす。
頭上には猫耳、後ろには猫の尻尾。明らかに猫に付いているべきモノ。
「はぁ・・・」
ため息を吐いて、独り言を呟こうとした瞬間・・・
「にゃんでこうにゃ・・・」
もう一つの事に気付き、体が固まる。
―・・・に、にゃん?
「・・・。」
―・・・ち、違う。今のはアレだよ。噛んだんだよ、まだ起きて間もなかったから。きっとまだ舌が回らないんだ。きっとそうだ、うん!
心の中で自分を説得してもう一度声を出そうとする。
―・・・あー。
「・・・にゃー。」
心で言おうとしている事と声で出る言葉が明らかに違う。
「・・・。」
再び言葉を無くし、沈黙していると猫耳と尻尾を付けた男―クリストファー・シャルドレードはベッドの方へと歩き出す。そしてIN。
―うん。これは夢だ。全く僕疲れてるんだな〜・・・
そう考えながらもう一度夢の中へ・・・と、意識を無くそうとしたのだが。
「無理。これ絶対夢じゃにゃい・・・っ」
再び、がばっとベッドから起きるともう一度尻尾を引っ張る。勿論、痛かった。
これは現実。夢などではない。
―うーん、僕何か変なものでも食べたかなぁ・・・
顎に手を当てて考えていると、ドアにノック音がした。
「ッ!!」
急いでベッドに潜り込み、こっそりと外を覗く。すると・・・
「クリスー?起きてるの?もう朝なんだけど。」
―リカルド!
聞き覚えのある声。
自分の友達であり、ご主人様。
「・・・?クリス、いないの?」
―ど、どうしよう・・・ッ、出ないとリカルドに迷惑が懸かる・・・でも・・・
とりあえず・・・
「にゃ・・・、にゃん・・・じゃなくて、まだ着替えてにゃッ・・・、もうすぐ行く!」
『にゃん』と付かない言葉を必死で選び、返事を返すクリストファー。
「・・・そう。今日出掛けるんだから早く支度しなよ?部屋で待ってるから。」
その言葉を最後にリカルドの足音が遠ざかって行く。
しかしその時クリストファーは顔を真っ青にしていた。
―そ・・・そうだった・・・今日、リカルドとお出掛けする日だった・・・ッ。
とりあえず着替える事にしようという事で、いつもの服を着る。
尻尾はなんとかズボンでカバー出来るだろう・・・耳も帽子を被れば何とかなる・・・はず。
問題は、「言葉」。
―『にゃん』なんて、恥ずかし過ぎて言いたくない!絶対笑われる!
どうしようか考え続け、「『にゃん』が出る言葉を喋らなければばれないよね?」って事でクリストファーは自室を出た。
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