その他小説

□嘘。(いぬぼく)
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1号室にて

「渡狸・・・」

いつも皆が揃うラウンジに集まるべく歩を進めていた渡狸は、後ろを付いて来ていた残夏から呼び止められた。
「あ?なんだよ残夏。真剣な顔して・・・」
振り返ると、そこにはいつもの笑顔の残夏ではなく、辛く、悲しみの混じった笑みを浮かべた残夏が立っていた。
「急にごめん。でも、君には最初に話しておこうと思って・・・」
「なんだよ、改まって・・・」
「僕・・・もう長くないらしいんだ・・・」
「・・・ぇ。」
「昨日検診しに病院行ったら・・・もう・・・」
「え・・・嘘だろ?」
「残念だけど、嘘じゃないんだ。今、立ってるのもちょっとキツイんだよね・・・」
「なっ!」
「今まで色々と遊んでごめんね?沢山迷惑掛けた・・・」
「そんな・・・そんな事言うなよ!て言うかキツイなら休んでろよ!」
「うん・・・でも、最後ぐらいは渡狸の側で・・・」
そこまで言うとバランスを崩し、渡狸に寄り掛かる。
「ッ!!残夏!」
「あ〜、ホント僕って君に迷惑掛けてばっか・・・君にはちゃんと自分の人生生きてほしいのに・・・」
「何言ってんだよ・・・そうだ、病院行こう!安静にしないと・・・ッ」
「無理だよ。今行ったところでもう・・・」
「なんだよ・・・そんなにヤバいのかよ・・・。いつも馬鹿みたいにやってるくせにこんな時だけそんな・・・ッ、弱ってんじゃねぇよ!!!」

目から涙を流し、残夏を抱きしめていると、残夏の方がフルフル震えているのに気付いた。

「・・・?残夏?」
「ぷ・・・クククッ・・・アハハハハハハハハ!!!!」
急に笑い出した残夏に驚いて、そっと残夏を自分から引き離すと、そこにはいつもの残夏の笑顔があった。
「え?ちょっと・・・お前・・・」
「もうラスカルってば引っかかり過ぎ!ちょっとは疑わなきゃ!めっだよぉ?」
「・・・は?」
「今日は何日だ?」
暫し考え。
「4月・・・1日?」
「そう!今日はエイプリルフールだよぉ☆」
「じ、じゃあッ!!?」
「もちろん、今のはウ・ソ☆」
「〜〜〜〜〜ッ!!!ざぁんげぇえええええ!!!!!!!!!!!」
「ラスカルってばホント単純だよねぇ!!」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!!!!!!!///////」
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