その他小説

□とある時間の闇人達
1ページ/3ページ

夜見島金鉱社宅にて。

「テレビ観たいなぁ・・・」

光が少ない暗闇の中、一つの声が響く。

「なぁなぁ、巨人どうなったかなぁ?」

声の主は側を歩くもう一人に声を掛ける。

「知るか。そんな事よりちゃんと真剣に見回れよ。」

ほぼスルー状態で渇を入れるもう一人の影。

「えー、気にならないのかよー。つまらないなぁ・・・」

やる気の無い声でため息を吐いていると先を歩いていた影が振り向く。

「お前なぁ・・・後で三佐に言いつけるぞ?」
「うぇえ!?ちょっ!ちょっと待ってそれだけは止めて!!」

後ろを歩いていた影は急に焦り出し今度は真面目に見回りに専念する。

「・・・それと・・・」

先を歩いていた影が立ち止まり今度は振り向かずに後ろを歩く影に声を掛ける。

「そんな事・・・もう俺達には関係ないじゃないか・・・」

その時、丁度雲に隠れていた真っ黒な太陽が顔を出し、彼らを苦しめない程度の光を地上に照らし出す。
現れた二つの影の一方はにやけた顔が印象的で片目は布で隠し、口周りには黒い液体がべったりと付いている。服装は恐らく自衛隊の迷彩服であろう服と、その上に黒い布や服を厚着している。
もう片方はフードの下に迷彩柄の帽子を被り、服装はにやけ顔とほぼ同じ。細かく言うなら腰に巻いている布が少し違う事だろうか。そして目元はまるでパンダのようにクマができている。
クマの男―ここでは「パンダ」と呼ぶ―は、にやけ顔の男―ここでは「ニヤニヤ」と呼ぶ―に少しばかり切なさの残る表情で続きの言葉を語る。


「俺達にはもう・・・光の側に近付く事は許されないんだから・・・」
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ