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□SIRENが鳴る頃に
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羽生蛇村
「美耶子、もうすぐ8月3日らしいよ。」
「それがなんだ。」
「最初にサイレンが鳴った日だよ。」
「・・・それがなんだ。お前は私に嫌な事を思い出させる気か・・・」
「んー、そういう意味で言ったんじゃないんだけど・・・」
「じゃあどう言う意味?」
「なんか自分から言うのって照れるなぁ・・・」
「・・・?なんだ、何かあるなら早く言え、恭也。」
「・・・。確かにあの日は俺達にとって嫌な思い出しか生まなかった・・・でも、一つ良い事があった。」
「良い事?そんなこと記憶に・・・」
「美耶子・・・君と出会えた事・・・」
「・・・。・・・はっ!?」
「あの日俺と美耶子は出会えた。確かに色々あったけど・・・でも君に出会えて良かったと俺は思うんだ・・・」
「・・・。」
「・・・、美耶子はそうは思わない?」
「・・・も・・・。」
「え?」
「・・・私も・・・そう思う・・・」
「美耶子・・・」
「恭也・・・私からも言いたい。」
「・・・?何を?」
「恭也・・・恭也と出会えて・・・私も嬉しい・・・一緒にいてくれて・・・ありがとう恭也。」
「・・・うん、俺も・・・ずっと一緒にいてくれてありがとう美耶子・・・」
「これからも一緒だ・・・」
「うん。一緒・・・ずっと一緒だよ。」