最強純情男に祝福を
□第7話
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池袋のとあるファミレス
その一席で一つのグループが談笑をしていた。
金や明るい茶色など、明らかに人の手によって作られた髪色の中、天然のやわらかな茶髪が混じっている。
「この頃かっこいい人見た?」
「ないない!イケメンいないなぁ・・・・ブサメンばっか」
「あたし駅前で見たよー!」
「え、どんな人!?」
「ホスト系でさあ」
「あんた、ほんっとそーいうタイプ好きだよねぇ・・・・・・ねえ、あああああはどうだったの?」
「ん?」
ミルクティーを飲むやわらかな茶髪の少女――あああああは首を傾げた。
ストローから口を離すと、「なんの話だっけ?」と気まずそうに笑う。
「だーかーらぁ・・・・・イケメン見たかって話!!」
「どうなの?」
「うーん・・・・・・・・・・どうかなぁ・・・・・・」
そう言って再びストローに口を付ける。
実は頭の中ではある一人の人物が思い浮かべられていたのだが――追及されるのが嫌なため、黙っていることにした。
すると、周りの女友達が一気に詰め寄ってくる。
何事かと思っていると、にやけた面をしながら一人が口を開いた。
「あんたさぁ、先輩とできてんでしょ?」
「へっ!?」
いつもより1オクターブ程高い声を出すあああああに、周りは一気に吹き出した。
そのままさらに詰め寄る。
「ま、同じサークルで接点多いしねぇ・・・・それに、向こうもその気ーって感じじゃん?」
「そうかなぁ・・・・・・そんな感じしないけど」
「なーに言ってんの!男なんて狼よ!!」
「おおかみ・・・・・・・」
カあああああ頭に、先日正臣が言っていた「オオカミ」という言葉がよぎる。
と同時にその意味がリンクし、顔を真っ赤にさせて手を勢いよく振った。
「ち、ちがう!!絶対ちがう!!」
「そんなこと言っちゃってさー。顔真っ赤だよー」
「ちがうもん!」
「可愛いなぁー」
「もう、からかわないでよ!!」
ぷいっと拗ねた様子のあああああに「ごめんごめん」と軽く謝罪の言葉を述べる友人たち。
まったく反省の色がないと分かっていても許してしまうのが彼女の長所でもあり、短所なのだが・・・・
「だいたい、たとえ先輩にそういう気があったとしても、私はないから問題ないよ!」
「えー、なら私が取っちゃおうかなー」
「どうぞどうぞ。関係ないもんね」
「えーほんとー?」
「うん。だいたい、私・・・・・・・ちょっと苦手だし」
「あー、確かに、あああああってすっごいアタックされてるもんねー」
「かっこいいんだけどねぇ・・・・」
あああああはあはは、と乾いた笑いを漏らす。
正直、その先輩はかっこいいと思うものの、アピールの度が過ぎているため困っているのだ。
すると、一人が口を開いた。
「そういえばぁー・・・・・・・あああああのタイプの人って聞いたことないなあー」
「あ、そういえばねー」
「え、な、なに?」
「白々しい。白状しちゃいなさい!」
「うー・・・・・・」
友人たちに詰め寄られ、危機的状況に陥っていたあああああは気付かなかった。
店にドレッドヘアと先程頭の中で思い浮かべられた人物―バーテン服の二人組が入ってきていたことを。