夢小説5

□そんな親を
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例えば
生まれたばかりの私の首を親が絞めようと伸ばした手を、私の世界で一番大嫌いな人が止めたとして、
そして十何年後、
両親が殺された。その張本人に
「ひ、い、」
「どうした?」
「ひと、ごろし」
「人殺しとは酷い言われようだな。お前を殺そうとした親を殺しただけだ」
「殺し殺し言わないでよ!!」
思わずヒステリックに叫ぶ。
水を打ったような静けさだ。
「まったくもって見当違いもいい所だ」
オールバックの髪を下ろして包帯も付けてないクロロ=ルシルフルは初めて会った時より若く見えた。

初めて会ったのは私が6、7才の頃だった。両親は私を可愛がり何でも与えてくれた。そんな何不自由なく過ごしてきた私だったが、次第に嫌でも知ることになった。

両親は麻薬商人だったのだ。

父親は前に殺された。暗殺者のキルアの手で。彼は「お前の幸福は誰かの不幸の上に立ってたんだな」と幼い私に訳の分からないことを言った。
父親は酔うと暴力を振るう人だったので少ししか悲しくなかった。
母親はもちろんクロロ=ルシルフルだ。一瞬だった。ほんの一瞬で目の前が真っ黒になった。

「確かに、私の両親は罰される行為をしていたけど、でもそれは、私を守るため!悪いのは全部わ」
私、と言うはずだった。気づいたらクロロ=ルシルフルに抱きしめられていた。
「お前が悪いんじゃない」
「貴方に!何が分かるのよ!!」
「頼むから、俺を許してくれ」
今にも泣きそうな声が降ってきた。
「…あんな親でも、たとえ大罪人でも、私は愛し゛てた!!」
「俺はお前を救うはずがその逆をしてしまったようだな」
たぶんクロロも泣いていた、
んだと思う。
許すとか償うとか
そんなのどうでもいい
両親は、
もう戻って来ないんだから

そんな親を

愛していた
それは罪?


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