夢小説8

□B
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「いらっしゃいませ〜」
元気な店員の声が店内に響く。
そう言えば前に休憩時間に轟さんと一緒に買いに行ったよね、佐藤くん。
そう言うとあーといつものテンションで言われた。
「新しくお買い求めですか?」
「いえ、機種変を」
思いきって最近話題のiPhoneにしてみることにした。
佐藤くんを見ると携帯ショップで携帯を弄っている。
「お連れの方は宜しいんですか?」
店員さんも同じこと考えていたみたいだ。
ふわり笑って彼はいいです、と言うとそうですか、と返した。
「では、手続きをしておきましたので今日からこちらをお使い下さい。今まで使って頂いた携帯は解約させて頂きますね」
「はい」
ありがとうございましたー
今日はえらく晴天だ。
シートに座ってシートベルトをする。
「飯、食ってねぇだろ」
「え?うん」
「付き合え」
俺も食ってねぇんだ
赤信号で車が止まる。
平日でしかもぽかぽかした陽気だ。
近くのカフェに車が止まる。
「うわーお洒落なカフェだねー」
こんなお洒落な所があるなんて知らなかった。
意気揚々と店に入ろうとするとくいと襟を掴まれた。
「なにはしゃいでんだよ、ガキか」
う、確かに
今考えたら恥ずかしかったかも。
気を取り直して佐藤くんの隣を歩く。
背が高くて煙草の匂いがして大人っぽい。
くんくんと鼻を鳴らすと目の前が真っ暗になった。
煙草の匂いが強くなる。
佐藤くんが俺の顔に手を当てたんだ。
「お前、」
ぱっと手を離して俺をじーと見る。
なに?
なんでもねぇ
そう言ってくるりと来た道を戻る。
「え?ご飯食べないの?」
食う
そう言って2、3分歩いて暖簾をくぐる。
「ここで」
どこにでもある普通のラーメン屋だった。


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