夢小説8

□とある隊士の考察
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真選組史上初女隊士にしてこれも史上初、山崎退の彼女。
名字名前。
おまけに副長と沖田隊長に、局長には別の意味で愛でられている。
「あ、」
噂をすれば、とはこのことだ。
ふわりといい香りと共にきりっとしたクールなオーラの名字隊長が近づいてくる。
「おはようございます」
軽く礼をして通り過ぎると
「おはよう」
と花のように笑う。
むさ苦しい男共に囲まれたこの屯所で過ごす俺にとって唯一癒しだ。
隊長と言う役職なのに気取ってなくてそれでいて局長や副長にも信頼されている。
たまに沖田隊長と悪巧みして副長に怒られる子どもっぽさを持っていてこれもまた俺たち隊士の中で人気が高い。
でもそんな完璧を謳われる名字隊長にもひとつ、俺たちに理解されないことがある。
山崎退。
真選組を陰ながら支える密偵。
「あ、退だー!」
彼の姿を見つけた途端に女らしく…いや女なんだけどいつもクールな分、ギャップを感じると言うか…
抱きつく名字隊長に照れながらも満面の笑みの山崎さん。
くそう、羨ましい。
「もう、仕事は進んでる?」
「まーだ!退と一緒にやろうかと思って!」
彼女は属に言うツンデレと言うものか
はたまた全く違う属性なのか…
と、俺の友達のちょっとオタクな隊士が前に言っていた。
「俺も道連れー?俺も仕事あるんだけどな」
そう言いながら顔はちっとも嫌がっていない。
「ねぇ、きみ!」
「うえっ!?はい!」
いきなりと言うか完全に気配、立ってたよな。
さすが、と言うか…なんか怒ってません?
「きみさあ!さっきからずっとそこでつっ立ってるけど、巡回は?」
そう言えば今日は当番だった。
なんで知っているのか、まさか自分の部下の仕事内容を暗記しているのか。
さすがだ。名字隊長。
「はい!今から向かいます!!」
「よし!行ってこい!!」
ぱんっと背中を叩かれて廊下を走り出す。
この清々しい気持ちも角を曲がって副長からラリアットを喰らうまで続くだろう。

名字隊長、山崎さん、どうかお幸せに。



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