夢小説8

□脳みそを見せて?
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「右腕ちょうだい」
小さい女の子が言った。
公園で一人ぼっちで可哀想だったから遊んであげたら可愛いらしい手が私の右腕を掴んだ。
一瞬耳を疑ったがずっと手を繋いでいたから寂しくなったんだろう。
「ごめんね、右腕はお姉さんのだからあげられないの」
優しく宥めると女の子は悲しそうな顔をして右腕を離す。
しばらくして女の子は私の爪を指さして言った。
「お姉さん爪綺麗。アルカにちょうだい」
ふわっと笑ってアルカちゃんの頭を撫でる。
アルカちゃんは?な顔をして私を見上げた。
「アルカちゃんが大きくなったら綺麗にしてあげるから今は我慢してね」
そう言った所で銀髪の男の子が息を切らして走ってきた。
はあ、はあ、あんたアルカに何かお願いされた?
「お願いって言うか頼み事?うん」
…何回断った?
「2回だけど」
もう断っちゃ駄目だ。
「断っちゃ駄目って「お姉さんの人生、アルカにちょうだい」」
銀髪の少年はアルカちゃんのお兄さんらしい。
彼の凄いに私は思わず頷いた。
「…あんたには悪いけど」
家にきて
少年はそう言って――それからの記憶はない。

気がつくと暗くて冷たい床に横になっていた。
「え…?」
怖くなって周りを見渡すと銀髪の少年と黒髪の青年と見られる人が私に近づいてきた。
「死にたくないなら大人しく家にいてアルカの言うこと聞いて」
「は?意味分かんないんだけど」
"死ぬ"と言う単語にゾッとした。
少年を見るとふっと目線を外した。
よく見ると所々に傷痕があった。
「名前は?」
「…名前」
「これからアルカの言うこと何でも聞いて。金は払うから」
バイトなの?
とりあえず頷いてみる。
少年は微かに口角を上げた。
「アルカ」
パッと灯りが点くとアルカちゃんがぬいぐるみを抱いていた。
恐ろしい数のぬいぐるみと人形。
鳥肌が立った。
「名前、一緒にご飯食べよう」
これから一体何を要求されるのか。
考えるだけで自分の首を締めたくなった。


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