5つの宝島

□足りない言葉、溢れる想い(スン×ジェ)
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「おい、ジェジン。お前なんでスンヒョンの事避けてるんだ?」
練習する為に集まったスタジオで、二人になったのを見計らってジョンフンお兄さんが話しかけて来た。
ギターを置いて僕にもベースを置く様に言う。
しっかり話し合おうって事だ。

「ミナンの面倒はちゃんと見てるのに何でスンヒョンだけ無視するんだ?」
「別に無視なんかしてないよ・・・・。まだ慣れてないだけ・・・」
嘘を吐いてるからジョンフンお兄さんの目を見られない。顔を逸らして僕は唇を尖らせた。
「お前が人見知りなのは知ってる。でもお前は兄さんだろ?知らない人ばかりの中に突然入れられて、戸惑ってるのはスンヒョンの方じゃないのか?」
ジョンフンお兄さんの言う通り、きっと僕がスンヒョンの立場だったら逃げ出しているかもしれない。
ただでさえウォンビンお兄さんのファンの風当たりは強い。ウォンビンお兄さんの脱退の翌日にスンヒョンの加入が発表されたからだ。
別にスンヒョンの所為じゃないのに・・・スンヒョンが悪いわけじゃないのに。
一部のファンの間ではスンヒョンは凄い悪者扱いされていた。

「守ってやらなきゃ。お前兄貴だろ?」
僕の顔を覗き込むと、頭の上に大きな手を置いてワシャワシャと僕の頭を撫でた。
「ジョンフンお兄さん・・・・・僕って女みたい?」
頭を撫でているジョンフンお兄さんを見ると、
「あいつに何か言われたのか」
今度はほっぺを撫でる。
「僕の事可愛いって、美人だって言うんだ。僕は兄さんなのに!僕の事馬鹿にしてるんだと思って・・・・」
「それでスンヒョンを無視してたんだ」
「ごめんなさい・・・」
ジョンフンお兄さんに向かって頭を下げる。
「それは俺に言う言葉じゃない、スンヒョンに言えよ」
そんな僕にジョンフンお兄さんは言った。

「お前の事馬鹿にして言った訳じゃないと思うぞ。何でそう思うのか訊いたか?」
「ううん・・・・」
僕は首を振る。
「ちゃんと訊いてみろ。可愛いも美人も褒め言葉だろ。俺だって毎日ホンギに可愛いって言ってるぞ」
「それは知ってるよ!ジョンフンお兄さんがホンギお兄さんを可愛いって言うのは特別な感情があるからでしょ」
僕が頬を膨らませるとジョンフンお兄さんは大声で笑った。
ジョンフンお兄さんとスンヒョンは違うもん・・・。


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