5つの宝島

□愛に満ちた処女よ(スン×ジェ)
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「お前嫌われる様な事したのか?」
兄貴に訊かれて首を振る。
僕には嫌われる様な覚えは全く無い。
昔は僕の事をミナリと同じ様に可愛がってくれた。
兄貴二人がべったりでいっつも二人の世界だったから、子供の頃から僕とミナリの面倒を見てくれたのはジェジンさんだった。

一つしか違わないのにしっかり者で、宿題を見てもらったり、お風呂で頭を洗ってもらったりしていた。
僕は昔から優しいジェジンさんが大好きだった。
家の兄貴はホンギさんには昔から優しかったけど、僕には全く優しくなくて、ジェジンさんが本当のお兄さんなら良かったのに・・・って思っていた。
中学に入ってもそれは変わらなくて、大きくなった分、余計にしてくれる事が多くなった。たまに両家の母親の代わりに夕飯を作ってくれたり、部活のユニフォームを洗濯してくれたり・・・・まるで「お姉ちゃん」みたいだった。

ホンギさん同様、ジェジンさんは凄く可愛くて昔からよく女の子に間違われた。
ホンギさんは小さい頃、ヤンチャでガキ大将だったから女の子に間違われる事はなかったけど、大人しくて線の細いジェジンさんは本当によく間違われた。
僕とミナリを連れて買い物に行けば八百屋で、「弟ふたりも連れてお姉ちゃん偉いね」と言われ、チムジルバンに行けば「まだ小さいから弟と女風呂に入っていいよ?」と言われ、その度に恥ずかしそうに「僕、男です」って小さい声で答えてたような気がする。

とにかく小さい頃は僕にもとっても良くしてくれてたんだ!!
中学まではミナリと僕とジェジンさんの三人で良く出掛けたりもした。
ジェジンさんが変わったのはあの後なんだ・・・・、両親を事故で亡くしてから。
急に僕やミナリと遊ばなくなった。
学校が終わるとバイトして、その後勉強して。
休みの日もソヨンの手伝いをしたり、家事をしたり。何時の間にかジェジンさんの日常から僕の存在は消えてしまった。

「僕の事見て欲しかったんだ、忘れて欲しくなかったんだ」
それだけなのに・・・・、嫌われてるなんて思ってもみなかった。
兄貴がそっと僕の肩を抱いた。コツンと頭がぶつかる。
いつもなら「気持ち悪いなあ」って悪態も吐くけど、今日は大人しく抱かれとこう。
こんな兄貴の温もりでも有難いもんだ。

辛い時や悲しい時、それと悔しい時も。泣くのは何時もジェジンさんの腕の中だったのになぁ・・・。
今はその人に泣かされている。

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