小さい宝島

□エプ家 
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−嵐の夜−


僕が寝ているといきなり光が入り込んだ。
目を開けて光の方を見ると、ドアの所で立っているミナリの姿が見えた。
「お姉ちゃん・・・・」
「どうしたのミナリ?」
ベッドの上に体を起こしてミナリを手招きすると部屋に入って来た。
枕を持ってるからどうして部屋に来たのかは分かってるんだけど、枕を抱えてモジモジしてる姿が可愛くてつい意地悪をする。
「一緒に寝てもいい?」
ベッドの横で首を傾げて訊く仕草が可愛くて弟なのにきゅんきゅんvvしちゃう。

「おいでっ」
布団を捲ってポンポンとマットを叩いたらミナリが勢いよく飛び込んで来た。
気が付けば遠くで雷が鳴ってる。
「ミナリ・・・・いい大人なのに雷が怖いの?」
「違うよ、お姉ちゃんが怖いかと思って来てあげたんだよ」
強がりを言いながら僕の体に抱き付いて来るミナリ。
「今日はママじゃないんだね」
何時もなら僕の所じゃなくてママのベッドに潜り込むのに・・・。
不思議に思っていると、次のミナリの言葉に納得をした。

「だって・・・部屋の前に行ったらママの悲鳴が聞こえて来たから・・・」
「ああ、また?毎日毎日よくやるね」
家の両親はとっても仲良し。
僕達姉弟がいてもお構いなし。
何時でも何処でもイチャイチャ。
子供が居ても色っぽいママにパパはメロメロで、子供が大人になっても毎晩の様に二人の寝室からはママの嬌声が聞えて来る。
でもミナリ?ママのベッドに潜り込もうとしたって認めてる時点で「怖い」って言ってる事に気が付いてないね?

「やっぱり怖かったんだねミナリ?」
「あっ・・・・・」
僕の胸に顔をくっ付けていたミナリが下から僕を見上げて「バレちゃった」って顔をした。
「あ、あいつには内緒だよっ!!」
急にミナリが不機嫌な声を出すと頬を膨らませる。
ミナリは僕の彼氏が嫌い。
嫌いって言うかライバル?
ママが言うには「お姉ちゃんを取られたみたいな気がして寂しいんだよ」って言うけど、前の彼氏の時はそんな事無かった。
「スンの事嫌い?」
「嫌い・・・お姉ちゃんは僕のだっ!!」
力の強いミナリにギューっとしがみ付かれて苦しい。
「ミナリっ・・・苦しいっ」
ママ・・・・やっぱりママはママだね、子供の事良く分かってるよ。
苦しいって言ったら力は弱めてくれたけど、甘えて僕の胸で頭をグリグリしてるミナリ。
その時僕の携帯が着信を知らせた。
夜中の電話。
一人にしか使っていない着信音。
ミナリは僕の携帯の電源を落した。



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