5つの宝島

□愛に満ちた処女よ(スン×ジェ)
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「お休みなさい」
また違う女だ・・・。
隣の二男坊のスンヒョンは付き合う女をコロコロ変える。
先週までは黒いセダンに乗った30前の女だった。
わざわざ車から降りた女が、スンヒョンと長いキスをしているのに出くわした事があった。

今度の女は前の女より少し若いかな?
それでも年上なのには変わりはないけど。
車の窓を開けた女にスンヒョンがキスされていた。
女の腕は首に回っているけど、スンヒョンの腕はダラリと伸びたままだ。
いつもそう。

「お休み」
スンヒョンが女に向かって手を振る。
女の車が去るのを見送ったスンヒョンと目が合った。
「ジェジンさん?見てたんだ」
わざわざ俺の前まで来たスンヒョンを見上げる。
年下のくせに僕より背が高いのがムカつく。

「お前口紅付いてる」
さっきの女の口紅がベッタリ付いていて、キスの激しさを物語る。
「ウソッ!このまま帰って兄貴に見つかったら何言われるか分かんないよ・・・」
スンヒョンは手で唇を拭った後、手の甲に着いた口紅を見て顔を顰めた。
「うぇっ!最悪っ!!」
「お休みっ」
こんな奴に付き合ってられない・・・・早く帰って勉強しなきゃ。
大学を休学したり復学したりしながら、ホンギお兄さんはソヨンを手伝いながら僕とミンファンを学校に通わせてくれている。
僕はそのおかげで休学する事なく大学へ通えていた。
ミンファンもそうだ。
僕は時間が惜しくて早く帰って勉強したくて、スンヒョンの脇をすり抜けて家に入ろうとした。

「待って!」
そんな僕の腕を何故かスンヒョンは掴んで引き留めた。
「何?僕忙しいんだお前と違って」
お前みたいなチャラチャラした奴と話してる暇なんて僕には無いんだよ!出来ればミナリとも一緒に居て欲しくないね。
僕は軽蔑した様な目でスンヒョンを見た。
「そんなに僕が嫌い」
そんな僕にスンヒョンが鋭い眼差しで見下ろす。
掴まれた腕は痛いくらい力が入れられた。
「ああ、嫌いだねお前みたいなチャライ奴。話す時間がもったいない。僕はお前とは違うんだ」
何か言い返すと思ったのにスンヒョンはあっさり腕を離し、何も言わずに自分の家へ入ってしまった。
何だか拍子抜け・・・・
「ホンギお兄さん一筋のジョンフン兄さんの弟とは思えないチャラさ・・・最低」
僕は酷くイライラしながら家に入った。


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