似非神様と泣き虫君。

□第1話
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田舎の子供は余所者に排他的だ。「転入生」というわかり易い異物を、彼らは集団でいじめの的にする。
都会育ちのひ弱なモヤシっ子など、小さな頃から野山を駆け巡って鍛えられた田舎っ子には、逆立ちしたって勝てはしない。
それをわかってていじめるのだから、卑怯だ。


こういう事を学校で教師に話すと、大抵困った顔をされる。
教師にとってはいじめの被害者も加害者も平等に扱うべき生徒なので、どちらか一方の肩を持ってもう一方を貶す訳にはいかない。


それに、それは俺がいじめられている事を認める行為でもあるので、学校の面子に傷が付くのを避ける為にも、俺を適当に宥めすかす事しかできないのだ。
もし俺がいじめられて自殺してしまうタイプの人間だったらどうするつもりなんだろう?


表向きは"喧嘩でヒートアップし過ぎて怪我をした"事になっているので、いじめっ子達に「あまり酷い事をしてはいけない」と注意はするが、そのせいで「チクった」といじめられる。
最悪の無限ループだ。
もううんざりだ、これだから田舎者は。




本当は、田舎だ都会だなんて、ただの言い訳に過ぎないと理解してる。
多分俺は、自分が1人きりである事に理由が欲しいんだ。
都合良く近場に「生まれ育った場所」という、格好の差別要素が転がっていたから利用しただけで…。

なんだ、卑怯なのは、俺も同じじゃないか。



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