リクエスト 2

□愛と服従のキスを  epilogue
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彼?とことんと首を傾げる土方に、ちゃんと見えるように近藤は体をずらして振り返った。
土方が不思議そうな顔をしてその先を見ると、そこには信じられない者がいる。
土方は吃驚のあまり声もでない。
そこには土方の恋い焦がれる男が、ソファに凭れて寝こけていた。

「彼がどうしてもお前の傍にいるってきかないからさ、その間任せて、社の方に戻ってたんだ」

近藤の説明にも土方は上の空だった。
そう言えば、昨夜倒れたのは彼の店だ。
突如思い出し、さーっと血の気が引いた。
なんて迷惑をかけてしまったのだ。謝罪してもし足りない。
それにしても、なぜ彼がここにいるのか?
同伴した客だったので、ついていくように言われたのだろうか?
土方はマジマジとこれだけ騒いでいてさえ寝息を立てて眠っている金時の顔を見て、
ふと違和感を感じる。
金時は異国の血を引いているらしく、この国の人間とはまた違った色の白さをしていた。
その綺麗な白い頬が何故か赤黒くなっている。
そう、まるで何かに殴られたかのように・・・。

「・・・・・・っ!!!???」

土方は声にならない悲鳴を上げた。
ホストにとってそれこそまさに、顔は命なのである。
しかも土方の大好きな顔が、無残にも変色して腫れ上がっているのだ。
叫ばずにはいられなかった。
それに気付いた近藤が、少し言い辛そうに口を開ける。

「わりぃな。俺が殴っちまったんだ」

しかし、その言いようは全然悪いとは思っていないようだった。
土方は口をパクパクさせて近藤を見る。
近藤はそれに肩を竦めてみせた。

「だってよ。最近トシ、元気なかっただろ?お前が余りにも来るの遅いから連絡したら、
 いきなり知らない男が出てお前が倒れて病院に運ばれた、なんて言われたからさ。
 絶対お前、そいつに弄ばれてると思ったんだ」

慌てて駆けつけた病院の処置室の前に座っていた男を見て、近藤は激昂した。
一見してホストだと分かるその男が土方を苦しめていたのだと、そう思ったのだ。
何も言わずにその彼の胸倉を掴みあげ、殴りつけた。
それでも彼は何も言い訳せず、近藤に謝ったと言うのだ。
それが金時だった。

「あ、あんた!!あいつはホストだぞ!!顔が商売道具なんだ!!!」

ようやく声が出せるようになって、まるで叫ぶように責めると、近藤はそれでも全く悪びれてない様子で
言を継いだ。

「らしいな。全治二週間らしい。その間は店を休んでもらって、俺がその分給料出すよ」

それで本人も納得済みらしい。
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