リクエスト 2

□aphrodisiac R15?
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「旦那ぁ!お邪魔しやすぜ!!!」
「あぁぁぁ!!おめぇ!!なにやってくれちゃってんだァァァ???!!!」

チャイムが鳴ったと思った瞬間にドアが吹き飛び、その向こうには沖田が立っていた。

「すいやせんねぇ。急いでたんでさァ」

全然悪びれてないその態度に、銀時はキレかけた。
しかし、彼にキレても無駄なことはよく分かっている。
明日自分の恋人である、彼の上司に言いつけて怒ってもらおうと、大きな嘆息を付いて吹っ飛んだドアをがたがたと直し始めた。
だが、次の沖田の台詞でその手は止まる。

「旦那、そんなことやってる場合じゃないんでさァ。
このままじゃ、土方さんが喰われちまいやすぜ」

その不穏な台詞に銀時は、ギギギ〜ッとまるで油の切れたブリキの玩具のように顔を沖田に向けた。
その顔は先程までの死んだ魚のような顔はしていなかった。

「なに・・・?」

こと、恋人土方のことになると銀時は人が変わる。
沖田は肩を竦めながら、経緯を説明した。
それによると、今夜土方は警視庁の上司から接待と称して、呼び出しをされたらしい。
しかしその高官は、前より好色で有名な男なのだ。
しかも裏では変態で名高い天人も同席し、その上土方1人で来い、との指名付だった。
目的があからさま過ぎて、沖田や山崎は思わず倒れ伏すかと思ったぐらいだ。
だが、近藤は全くこういったことには疎く、土方も分かっていなかった。
2人して必死に止めたのだが、土方は変なところで融通がきかない。
かくして土方は言われた通りに出掛けて行ったらしい。

「俺らが乗り込むわけにはいきやせん。で、旦那の出番でさァ」

当たり前だ。そうと知ったら頼まれなくても、助けに行く。
土方は自分の大切な大切な恋人なのだ。
そうして、正体がばれないよう(万事屋とバレれば、すぐさま真選組が裏で手を引いたことが分かってしまうので)変装し、事情を話すと西郷が店の子を快く貸してくれた。
そうして、パー子こと銀時は料亭に乗り込んだのだ。
料亭には、高官からお呼びが掛かったといって部屋を教えてもらった。
逸る心をどうにか抑え、案内も断っていった部屋の襖を開ける。
すると土方にまさに触れんとする、男の姿が飛び込んできた。
よく見ると土方の顔色は真っ青で、脂汗まで掻いているようだ。
一瞬頭に血が上りそうになったが、そこはぐっと堪えた。

「何だね?君達は・・・!!!」
「あら〜?お呼びが掛かってたんだと思うんだけど、このお部屋じゃなかったかしら〜?」

男の顔が醜悪に歪みすごい剣幕で詰め寄ってくるのを、銀時は横目で土方を見ながら軽くかわしていく。
そうして、さも今気が付いたかのように、声を上げた。

「まぁ、とても具合悪そうね。私が看病してあげるわ」
「え・・・?ちょ、ちょっと待ちなさい!!」

男の横を素通りし、銀時は既に意識を飛ばしてしまった土方を、いとも簡単に横抱きした。
余りにもそのスムーズな動きに、男は咄嗟に反応できず気が付いたときには、土方を抱きかかえた銀時はすでに襖の前である。
銀時はニヤリと笑みを浮かべ、男と天人を交互に見た。

「病人は私に任せて、後はゆっくりとお楽しみくださいな。アゴ美ちゃん、あとはよろしく〜!」
「は〜い!パー子ちゃん!!」

そのまま颯爽と何事もなかったのかのように、銀時は土方を連れて退室する。
余りの早業に、残された高官と甘人は口をあんぐりと開けたまま、それを見送るしかなかった。
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